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連載小説
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ベロベロディナー【下】
「ベロォォォォォン! レロンッ、ベロレロンッ! ベロベロベロベロベロリンチョ!」
「んむぅっ! んんんっ! あああああああっ!」
 それから数分後。二匹の戦いは一方的な様相を呈していた。ぬるま湯のような世界で生まれ育った家畜が、食うか食われるかの世界を生き抜いてきた野獣に敵う訳がないのである。長い舌を絶え間なく動かして獲物の全身を舐め回すベロリンガ、肛門の中までしゃぶり尽くされて絶叫するブラッキー。なんとも食欲をそそる光景だった。たっぷりと脂肪が詰まった大きくて柔らかな尻、でっぷりと膨らんだビア樽のような腹、柱のように太い腿をプルプルと震わせながら悶える姿にベロリンガは興奮せずにいられない。
「あぁっ、美味しそう……! こんなにも魅力的な子に出会えるなんて……!」
 既に相手を食べ物としか見ていない彼だったが、それはブラッキーに勝ち目がないことの裏返しでもあった。粘着質の唾液に足を取られ、凶悪な口臭に戦意を削がれ、麻痺して体の自由はきかず、おまけに――
「そこだっ! 隙ありぃっ!」
 ベロンッ!
「おっ……おぉっ、おおぉっ……!」
 技を繰り出そうとする度に玉袋を舐められて脱力してしまうものだから、全く反撃できないのである。両前足で局部を押さえて崩れ落ちるブラッキー。その様子をニタニタと眺めていたベロリンガの口から笑い声が漏れる。
「あははっ! 獲物の種類は数あれど、君みたいな男の子の獣ほど狩りやすい獲物はないよ! なんたって、お股に急所が無防備にぶら下がっているから、そこを舐めさえすれば何もできなくなっちゃうんだもん! 大切な部分はオイラみたく体の中に仕舞っておかないとねぇ!?」
 両手を腰に当て、自らの股間を見せつけるベロリンガ。またしても急所に電流を流されてしまったブラッキーは、目に涙を浮かべながら情けない声で鳴くのだった。
 このまま徹底的に舐め尽くしてやろう。ベロリンガは長い舌を口の中に引っ込める。
「えへへっ! そういえば、まだ味見していない部分があったねぇ? そこを舐めてあげるよ! さぁ、おいで!」
 そう言って相手の背中に両手を回すベロリンガ。未だに股間から前足が離せないブラッキーは難なく抱き寄せられてしまう。軽く目を瞑り、うんと口をすぼめた彼がブラッキーに迫ったのは――
 ブッチュゥゥゥゥゥッ!
 熱々の接吻だった。姿形が全く異なる同性の相手に唇を奪われてしまうブラッキー。精神を粉々に砕かれた彼の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。そんなことなどお構いなしにブラッキーの鼻面を舌先でなぞった彼は、
 ヌルリッ!
 相手の口内に舌を滑り込ませ、ブラッキーの舌を絡め取る。同時に相手を優しく抱き締めた彼は、うっとりとした表情でブラッキーの口の中を舐め回し始める。
「んーっ! んっ、んーっ!」
 目を白黒させながら必死にベロリンガの舌を押し出そうとするブラッキー。しかしながら、薄い小さな舌に分厚い巨大な舌の相手が務まる筈もなく、彼の悪あがきは瞬時に粉砕され、便所のように不潔なベロで口内を蹂躙されてしまうのだった。
 ……ちゅぷっ。
 やがてブラッキーの口の中を舐め尽くし、少し名残惜しそうに唇を離すベロリンガ。二匹の唇の間に架かった唾液の橋をベロで絡め取った彼は満足そうに笑う。
「むふふっ! いっぱい舐めさせてくれてありがとう! よく分かったよ、君のこと!」
 そこで抱擁を解かれ、うつ伏せに倒れるブラッキー。あまりの気持ち悪さに胃の内容物を全て逆流させた彼は、
「うぷっ……!」
 目を見開いて頬をパンパンに膨らませる。それに気づいたベロリンガは例のバケツを差し出してやる。
「あははっ、ごめーん! 臭かったかい、オイラのベロ? ゲロゲロしたかったら使ってね! ごゆっくり!」
 吐き気が収まるまで休戦だった。バケツの縁に前足を掛け、今にも吐きそうな仕草をしたブラッキーだったが、
「ぐぅっ、くっ……!」
 ゴクンッ!
 すんでのところで飲み下して耐えるのだった。まさかの展開にベロリンガは惜しみない拍手を送る。
「おぉっ、素晴らしい! 休憩は要らないみたいだね! それじゃ、再開しよう!」
 そそくさとバケツを片付けて身構えたベロリンガだったが、
「と言うか……」
 既に勝負は決していた。あとは至高のひとときを堪能するのみ。そこで言葉を切り、ネバネバのベトベトになったブラッキーを凝視した彼は舌なめずりをする。
「そろそろ食べてあげる! さぁ、ウンチになる準備はできたかい!?」
「うっ、う……!」
 ダラダラと涎を垂らしながら迫るベロリンガ、もはや後ずさるしかないブラッキー。やがて恐怖が最高潮に達した彼は、
「ウンチになんてなりたくなぁぁぁぁぁい! やだぁぁぁぁぁっ!」
 声の限りに絶叫し、洞窟の出口に向かって全速力で走り始める。が、麻痺して殆ど足腰が立たなくなった彼に追い付き、そして追い越すことなど朝飯前だった。あっという間にブラッキーの正面に回り込んだベロリンガは、両手を広げて立ちはだかる。
「だぁめ! ここで君はウンチになる運命なの! 絶対に逃がさないよ!? 食べもしないクセに平気で命を奪う薄情者なんか絶対にね!」
「なっ……!?」
 ギクリとした表情を浮かべるブラッキー。しかし、それも束の間、彼は素知らぬ顔をする。
「なっ、なんの話だ!? 意味が分からない!」
 ベロリンガは相手の口元をビシッと指差す。
「へんっ! とぼけたって無駄だよ!? 君の口の中に何匹ものコラッタの血の匂いが染み付いていたんだ。オイラなら十匹は余裕だけど、君の胃袋じゃ一匹、多くても二匹が限界でしょ? 残りの子はどうしたの?」
 バケツにひり出された大便の量からも明らかだった。ベロリンガは一気に畳み掛ける。
「うぅっ……!」
 完全なる図星だった。言葉に窮してしまうブラッキー。ベロリンガはニッと口角を上げる。
「答えられないみたいだねぇ? ……群れごと狩り尽くして、その中から美味しい子だけ選り好みして、あとは置き去りにしたってところかな?」
 首を傾げてみせるベロリンガ。ブラッキーは下を向いてしまう。
 そのとおりだった。昨日の日没後に郊外の草原へ狩りに出かけ、夜目を活かしてコラッタの群れに忍び寄り、一匹ずつ喉笛を食い破って皆殺しにしたのだった。食料として持ち帰ったのは肉質の良い若い雌の二匹のみ。他の獲物は埋葬することもなく放置したのである。
 沈黙するしかなかった。腕を下ろしたベロリンガはブラッキーに詰め寄る。
「ふふっ、何も言い返さない辺り、どうやら間違いないみたいだねぇ? ならオイラは絶対に許さない。それは命に対する冒涜だからさ。君には罪を償ってもらう。その唯一の方法こそ……」
 そこで一呼吸を置いた彼は顎を少し引き、
「食べられてウンチになることだ! ……ベロォォォォォン!」
 ベチョッ! ……ヌチャァァァァァッ!
 断言すると同時にベロを伸ばし、ブラッキーの顔を思いきり舐め上げる。
「むむむむむむぅ!」
 衝撃で仰向けに倒されてしまうブラッキー。起き上がろうと目を開けた彼の眼前に迫っていたのは――ベロリンガの巨大な尻だった。回れ右をしたベロリンガが顔に座ってきたのである。避けようとするも時すでに遅く、
 ブニュッ!
 しっとりと汗に濡れた臀部で首から上を押し潰されてしまう。
 それだけでも悲劇だったが、まだ悪夢は終わらなかった。ブリブリと尻を振りながらブラッキーの鼻先と臀部の位置を調整するベロリンガ。納得いったところでストンと腰を落とされ――
 ブチュゥゥゥゥゥッ!
 茶色い汚れがこびりついた尻穴に口づけさせられてしまうのだった。
「んーっ! んーっ!」
 くぐもった悲鳴を上げながら四肢をバタつかせるブラッキー。そんな相手の反応を楽しげに眺めていたベロリンガはフフンと鼻を鳴らす。
「あぁ、心配には及ばないよ! ちゃんと気絶させた後で食べてあげるから安心して! あと、君と違ってオイラに残酷な趣味なんてないから、痛い思いも苦しい思いもさせないよ! でも……ぐふふっ!」
 そこで下品な笑い声を上げた彼は、より深くブラッキーの顔面に腰掛ける。
「臭い思いはしてもらいまぁす! というワケでトドメだぁっ! んんっ、んんんんんんんんっ……!」
 両手を胸の前で構え、渾身の力を下腹部に込めるベロリンガ。尻穴がヒクヒクと震えた途端――
 ブウゥゥゥゥッッ!
 結腸の中で丸一日間熟成された大便の芳醇な香りが肛門から勢いよく噴射され、ブラッキーの鼻の穴の中へと直に注ぎ込まれる。想像を絶する汚臭によって嗅覚を粉砕され、ビクビクと痙攣するブラッキー。次の瞬間に思考を茶色く塗り潰され、ぐったりと脱力した彼は――そこで呆気なく失神してしまうのだった。
「あはぁっ、勝負ありだね! それじゃあ、早速……!」
 もう彼の食欲を止めるものは何もなかった。立ち上がったベロリンガは白目を剥いて動かなくなったブラッキーを真っ直ぐに見つめ、
「いっただっきまぁぁす!」
 シュルシュルシュルッ! ギュッ!
 食前の挨拶と同時に伸ばした長い舌でグルグル巻きにし、
 バクンッ!
 大きく開いた口で獲物の頭にかぶりつき、そして、
 ゴクッ、ゴクッ、ゴキュッ! ……ゴックンチョ!
 ボリュームたっぷりのブヨブヨの肉体をグニグニと押し潰しながら喉奥に送り込んでいき、二本の後ろ脚と尻尾が見えなくなったところで丸呑みにするのだった。
 ドプンッ!
「……げぇぇぇぇっっぷ! ごちそうさまでした!」
 獲物が胃袋に収まると同時に大きなゲップを漏らすベロリンガ。その場に腰を下ろして両足を投げ出し、破裂寸前の風船のように膨れ上がった腹を満ち足りた表情で抱えた彼は、ふと数年前の厳冬の頃の記憶を呼び起こす。
「あぁっ、幸せ! そして、やっと分かったぞ、この懐かしさの正体! あの時と似ているからだ……!」
 あの時――大凶作で冬の只中に蓄えが底をつき、飢えと寒さで動けなくなっていたところを、たまたま通りかかった狐の猟師に発見され、背負っていた仕留めたばかりの巨大な穴持たず――冬眠に失敗して狂暴化したリングマを解体して満腹するまで振舞ってもらった時だった。シチュー、ハンバーグ、ステーキ、そしてモツ煮込み。舌がとろけるような味わいを思い出した彼の顔に恍惚の色が浮かぶ。
「そうそう、森に足を踏み入れた街の住民を襲って食べることもあるオイラたちを助けても何も良いことないよって言って追い帰そうとしたら、オイラたちが誰であれ、腹ペコで死にかけている存在を見捨てるワケにはいかないとか言って助けてくれたんだっけ。もうカッコよすぎてメロメロだったなぁ……」
 しみじみと当時を振り返るベロリンガ。しかも、あの穴持たずは、彼が一匹で縄張りの奥深くに忍び込んで、先を尖らせた木の枝を仕込んだ落とし穴にはめて仕留めたとの話だったから衝撃だった。そんな彼の懐の深さと逞しさに感銘を受け、一生の親友になることを誓ったのである。
 それから何度か森の中で会う機会はあったが、もう顔を見なくなって久しかった。いつ以来だったかを思案し始めた途端に猛烈な眠気に襲われた彼は――潔く考えるのをやめ、仰向けに寝転がる。
「さぁ、明日も頑張ろう。きっと今日より素敵な一日にするぞ……!」
 そう独り言ちて睡魔に身を委ねるベロリンガ。それから数秒足らずで眠りに落ちた彼は、気持ち良さそうな寝息を立て始めるのだった。
 ……ブシャァァァッッ!
 ところ変わってベロリンガの大きな胃袋の中。彼は気付かなかった。本能的に命の危機を感じたブラッキーが全身の毛穴から真っ黒い汗を噴き出したのを――。
24/08/11 07:17更新 / こまいぬ
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