最終試験【下】【小】
時は戻って現在。そんな彼の不安は見事に裏切られたのだった。たった数日で野生の生活に適応し、数週間で狩猟の技術を完璧に習得し、旺盛な食欲の赴くまま食べて食べまくって丸々と肥え太っていったベロニカは――ものの見事に数ヶ月でベロベルトへの進化を果たしたのである。
今日は森の主のベロベルトに妻として迎え入れてもらうための最終試験の日だった。試験の内容は至ってシンプル。知略を尽くして自分より格上の相手を捕食すること。それもあと一歩まで漕ぎ着けたところだった。
「うまいっ! その調子でベロベロ舐め回して痺れさせちゃえ!」
どこからか聞こえてきた森の主の声援に頷いて応じるベロニカ。たっぷりと脂肪の付いた大きな尻を突き出して前屈みになり、高く両手を挙げ、顎を引いて口を半開きにした彼女は――進化して十倍もの長さになったベロを思いきり伸ばし、フローゼルを舐めて、舐め回して、そして舐め尽くす。
「あひぃぃぃぃぃっ!」
まるで雷に打たれたようなショックだった。情けない悲鳴を上げながらビクビクと全身を痙攣させるフローゼル。白目を剥いて弓なりに体を反らした彼の股間からホカホカと湯気立つ黄色い液体が漏れ出し、内腿を伝ってボタボタと地面に滴り落ちる。
「今だっ! 食べちゃえーっ!」
そこで再び森の主の声援が響き渡る。巻き取ったベロを喉奥に仕舞って突進するベロニカ。ネバネバのベトベトになった獲物を両手で持ち上げて地面と平行にし、ネバーッと糸を引く粘着質の唾液で溢れ返る大口を開けて迫り、そして――
バクンッ!
勢いよく顎を閉じて獲物の頭に食らいつく。浮き袋を掴んだ両手を引き寄せながらモグモグと咀嚼することにより、ホットドッグを食べる要領でフローゼルを口の中に押し込んでいく。
もはや生きた獲物を食べることへの抵抗など微塵も残されていなかった。太く長い二本の尻尾をジュルジュルと啜り取った彼女は、満足の笑みを浮かべて顔を上向け――
ゴックンチョ!
大きく喉を鳴らしてフローゼルを丸呑みにするのだった。
丸々と膨らんだ腹を愛おしそうに撫で回しながら達成感に浸るベロニカ。足音に気付いて背後を振り返った彼女は、森の主のベロベルトと固く抱擁を交わす。
「おめでとう、合格だよ! それも百点満点でね! これで君も立派な野生のベロベルトだ! ……約束通り結婚しよう、ベロニカ!」
流した汗が報われた瞬間だった。感極まったベロニカの両眼から熱い涙が溢れ出す。手を取り合い、ベロを絡め合い、静かに目を閉じて唇を重ね合った二匹は――とろけるように甘く濃厚な口づけで、ほどけることのない永遠の愛を誓い合うのだった。
「……さぁ、行こう! みんなが待っているよ!」
やがて互いの口からベロを引き抜いて唇を離す二匹。その言葉に深く頷いた彼女は、森の主に手を引かれながら、背の高い茂みの向こう側へと姿を消していったのだった。
今日は森の主のベロベルトに妻として迎え入れてもらうための最終試験の日だった。試験の内容は至ってシンプル。知略を尽くして自分より格上の相手を捕食すること。それもあと一歩まで漕ぎ着けたところだった。
「うまいっ! その調子でベロベロ舐め回して痺れさせちゃえ!」
どこからか聞こえてきた森の主の声援に頷いて応じるベロニカ。たっぷりと脂肪の付いた大きな尻を突き出して前屈みになり、高く両手を挙げ、顎を引いて口を半開きにした彼女は――進化して十倍もの長さになったベロを思いきり伸ばし、フローゼルを舐めて、舐め回して、そして舐め尽くす。
「あひぃぃぃぃぃっ!」
まるで雷に打たれたようなショックだった。情けない悲鳴を上げながらビクビクと全身を痙攣させるフローゼル。白目を剥いて弓なりに体を反らした彼の股間からホカホカと湯気立つ黄色い液体が漏れ出し、内腿を伝ってボタボタと地面に滴り落ちる。
「今だっ! 食べちゃえーっ!」
そこで再び森の主の声援が響き渡る。巻き取ったベロを喉奥に仕舞って突進するベロニカ。ネバネバのベトベトになった獲物を両手で持ち上げて地面と平行にし、ネバーッと糸を引く粘着質の唾液で溢れ返る大口を開けて迫り、そして――
バクンッ!
勢いよく顎を閉じて獲物の頭に食らいつく。浮き袋を掴んだ両手を引き寄せながらモグモグと咀嚼することにより、ホットドッグを食べる要領でフローゼルを口の中に押し込んでいく。
もはや生きた獲物を食べることへの抵抗など微塵も残されていなかった。太く長い二本の尻尾をジュルジュルと啜り取った彼女は、満足の笑みを浮かべて顔を上向け――
ゴックンチョ!
大きく喉を鳴らしてフローゼルを丸呑みにするのだった。
丸々と膨らんだ腹を愛おしそうに撫で回しながら達成感に浸るベロニカ。足音に気付いて背後を振り返った彼女は、森の主のベロベルトと固く抱擁を交わす。
「おめでとう、合格だよ! それも百点満点でね! これで君も立派な野生のベロベルトだ! ……約束通り結婚しよう、ベロニカ!」
流した汗が報われた瞬間だった。感極まったベロニカの両眼から熱い涙が溢れ出す。手を取り合い、ベロを絡め合い、静かに目を閉じて唇を重ね合った二匹は――とろけるように甘く濃厚な口づけで、ほどけることのない永遠の愛を誓い合うのだった。
「……さぁ、行こう! みんなが待っているよ!」
やがて互いの口からベロを引き抜いて唇を離す二匹。その言葉に深く頷いた彼女は、森の主に手を引かれながら、背の高い茂みの向こう側へと姿を消していったのだった。
24/08/11 08:06更新 / こまいぬ