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後ろの正面だあれ − 旧・小説投稿所A

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後ろの正面だあれ

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「へくしっ…!!」

「あ、兄さん風邪引きましたね?」

「うー…頭イタいよぉー…せっかくのお休みなのに…」

2人は眩しい日差しが差す森の中を歩いていた。カイオーガは柄にもなく風邪を引いてしまい、何やら顔に赤みがかかっている。

「……はぅぅ…だるいや…」

「じゃあ先にロッジに戻ります?風邪は万病のもとですよ…。」

ロッジ……彼らは春休みを使って、3泊4日の旅行に来ていた。正確にはあと3人いるのだが、ロンギヌスは生憎、塾の冬季講習に専念させられている。

「ロッジには誰もいないと思いますけど…一緒に行きましょうか?」

「ううん…一人でいけるから…ありが…と…」

カイオーガは千鳥足で脇道を通り、そのまま「ロッジ↑」の立て札の横を通っていった。

「まあ、お大事に…とでも言っておきましょうか。」

ラティオスは踵を返し、空へと舞い上がった。困っている人を探すアン●ンマンのように遠くを見回す。

「良い匂い…自然に触れるのって4年ぶりですね…」

スーッと深呼吸すると、もっと自然を堪能するために急降下していった。



〜カイオーガ〜

「あはは…おホシさまだ…あはは…あれ?」

かなりの重症なのか熱に惑わされているのか、カイオーガはロッジへの道を完全に外れていた。それに気づいた時はもう遅く…

「…まいったな〜迷っちゃった……ゲホッゲホッ…!!」

呑気にも慌てる様子はない。もちろん慌てる方が危険だが…

キョロキョロと左右確認しているものの、正しい道が現れるはずはない。しかし諦めて進もうとした時、道端の草むらから何かが飛び出してきた。


ガサガサッ…!!

「や、やめてよ…ぅぅ…」

「へへ…何いってやがる?世の中は弱肉強食なんだ…おとなしく…ん?」

後ずさりしながら出てきたのはまだ幼いツタージャ…それを追い詰めるように、巨大なペンドラーが現れる。ペンドラーはカイオーガに気がつくと、一瞬身を引いた。


「な、なんでここにカイオーガなんか…!?」

「ふーん…「なんか」はごあいさつだね?」

腰を抜かして倒れているツタージャの前を巨大な舌が這い、ペンドラーをぎゅるぎゅると締め上げる。

「ぐ…ぐぁぇ……」

「ゲホッ…弱肉強食なんでしょ?だったら…」

「ひ…や、やめろ…待ってくれ…!!」









〜20秒後〜

ツタージャの目は、むしゃむしゃと紫色の尻尾を飲み込んでいる、青い救世主(悪魔)へと注がれていた。「ゴクリ…」と同時に弱々しい悲鳴が聞こえたとき、ツタージャはもう頭を下げていた。

「あの……ありがとう…」

「アハハ…お礼なんt…ゴホッ、ゴホッ…」

「…風邪…なの?」

「ちょっとね。すぐになお…ゲホッ…」

「よ、良かったらわたしのロッジに来ない…?くすりもあるし…」

「いいの〜?後悔しない?断るなら今のうちだよ?」

「え……」

「冗談♪お言葉に甘えちゃおっかな…」

ツタージャは30倍以上違う相手にも関わらず、全く恐怖心を抱いていないようだった。まるで慣れているような…



「ねえ…キミ名前は?」

「…ツタージャでいいの。あなたは?」

「エターナr…うっ…」

カイオーガは頭を押さえ、ドサリと地面に倒れた。


<2011/05/15 15:42 ロンギヌス>消しゴム
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