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【保】捕食学校 第2話 − 旧・小説投稿所A

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【保】捕食学校 第2話

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やっぱり春の朝は眠たい…。一般の学生や社会人には辛い朝だろうか。
小さく頬を掠めていく心地の良い風にさらされ、暖かく、程よく睡魔をおびき寄せるかの様な日差しの下を、一人の狼獣人、が歩いていた。

「…眠ぃ…」

パックリと大きく開いた口を手で多い、フワァ〜、と大きな欠伸を漏らしつつそう呟いた。
肩に通学用の鞄と、もう一つ別の大きな鞄を担いで歩いている姿が見られる。彼もまた、あの学校の生徒なのだろう。
彼の、エルガと名乗られる狼獣人の周りには、チラホラと同じような様子で歩くヒトも見られている。
そんな風景を見ている内に、既にあの学校へと着いてしまっていた。

ガラガラ…

扉を開ける音が響くと同時に、その向こう側からワッと沢山の声が聞こえてきた。嵩張り(かさばり)過ぎて上手く整理できないプリント用紙みたいに、それらの声も彼の耳には少々堪えただろう。
雑談をしている面々と器用に避けつつ、自分の席に着く。ちょうど良く窓も開いていて、ちょうど良く日差しも差し込んでくる。まさに絶好の居眠り場だった。
っと、そんな事していたらまた怒られちまうな…。流石に授業はとりあえず受けておきたいし、後々面倒な事になるので、軽々しく居眠りなんて出来ない。
色々と準備をしている内に、授業開始五分前の予鈴が鳴る。
一時間目は…何だっけか…あ、歴史か。
そんな訳で、今日の学校生活が始まる。

歴史と言う事なので、担当の先生が彼等の教室に入ってくる。
入ってきた先生は…一言で言えば「ポケモンのガルーラ」だ。ちゃんとお腹にあるポケットの子供もいる。ただ、今まで見てきた個体より若干大きいのは気のせいだろうか…まぁいいか。
ノッシノッシと巨体を見せつけるかの様に教卓に向かう。それを見れば誰もが威圧感を覚えて震い出しそうになるが、その先生の表情にはそれらしきものが見当たらず、安心感を持たせているようだった。

「皆、おはよう。去年同様、歴史の授業は私クラウンがやることになった。改めて宜しくな」

頼りがいのある大人の男性のような太い声で挨拶が聞こえる。安心感を盛った表情の中に、真面目な表情も伺えた。

「えっと…まぁこれから授業に入っていくのだが…あ、しまった…授業プリントを忘れてしまった…」

いきなりこれかよっ。と言う事で教卓の上をゴソゴソと探しているクラウン先生が見れた。周りの生徒達はその様子にクスクスと笑っている。
エルガも少々呆れたように笑っていた。

「あー…お、エルガ君。ちょっといいかね?」

…は?…おれ…?
そんな思いを込めた顔を自分の指で指し、答えた。

「あぁ、そうだ。君には悪いが、職員室から授業用のプリントを取って来てくれないか?」

だそうだ…。

「え、先生…急に言われても…と言うか何で俺なんですか…?」
「む?そうだな…体育のノイス先生から、『エルガは足が速いぞ』と聞いている。それに、今しっかりと目が合ったからだな」

たったそれだけかよ…まぁいいか…。
それからすぐに席から立ち上がり、物凄い速さで教室を飛び出し、廊下を駆け抜けて職員室に向かった。

…コンコン…失礼します。

校舎の一番下の階にある扉を開ける。その扉の向こうは、教室より騒がしいのかと思わせるくらいの業務用機械や事務机が並び、先生らしき人物も何人か見られた。
職員室である。一見すれば、普通の小・中学校等のものと同じである。が、机や椅子等に関しては大きさが疎ら(まばら)だった。
基本的な一般人用の大きさから、果てしなく大きなものまで。そして机の上の私物まで大小様々だった。だが、これがこの学校の普通である。
この学校では常識に囚われてはいけません。
職員室に入ってすぐに、クラウン先生の机を探す。大きさ的に分かりづらい感じはするが、前に一度呼ばれた経験があるので、すぐに見つかった。
若干大きな机の上に整理されたA4サイズのプリントを持ち、すぐさままた来た道をたどって帰った。
歴史の授業は先生のちょっとしたミス以外は特に問題もなく、すんなりと終わった。


<2011/06/16 22:35 K-urz>消しゴム
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