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Wolves Heart 真実の心 − 旧・小説投稿所A

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Wolves Heart 真実の心

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「君は何食べる?」
自宅に戻った僕はまず、仔狼の体から水気を拭き取り乾かす。
濡れたままでは体調を崩す可能性が一気に高まり衰弱している今では危険である。
次に切創の止血を行い、包帯を巻き付けた。
一応止血を行ったとはいえ、状態が良くなった今では包帯にじわりと滲んでいた。
「どうしたの?お腹減ってなかった?」
その表情は何かを言いにくそうにしており、口を噤んだまま視線が落ちる。
「ぼ、僕・・血しか食べれないの・・」
「血・・・?」
初めは冗談か何かと思った。がまだ幼く、可愛いこの仔が嘘をつけるとは考えにくい。
先程から僕と目も合わせようともしない。
「お、お願いっ・・眼も紅いから、気味悪いけど虐めないで!見捨てないでっ・・お願いっ・・」
公園では暗闇の為にそこまで確認は取れなかった。
確かに仔狼の眼は血の様に深紅で他人を呑み込まんとするような妖しさを放っている。
その上、血を飲むと言うのなら気味悪い上に不吉を運ぶ者とも思われるのは仕方ない事かもしれない。
「どんなにお腹減っても一日一食で我慢する・・だから・・お願いだよ・・僕を・・・見捨てないで・・・」
・・恐らく、幾人にも拾われ、その血のみ受け付ける体とその容貌が災いし見捨てられた訳だ。
見捨てるどころか手を出した人間さえいたのだ。
この仔の右目を奪って・・・
今、僕が見捨てればこの仔はもう助からない。
この社会に虐げられ矮小な命は失われるだろう。
「ずっと・・・我慢してたんだね・・」
「え・・」
僕はその場で屈み、仔狼に優しく微笑む。
右腕の袖を捲り上げ、右腕を晒す。
「一回じゃ足りないよ。もっと大きくならなきゃ。一日三回でいいよ。」
「え・・で、でもっ・・そんなに一杯貰ったら・・・お兄ちゃん・・死んじゃうんだよ・・?」
「・・・・・」
僕は言葉に困った。
まだ幼いこの仔はもう良心が育っていた。
この年頃でやっと育ち始めるのが普通であるのだが、この仔はすでに他人の状態はで把握出来るようになっていたのだ。
生への執着心。よほど過酷な状況に置かれていたようだった。
だったらそろそろ解放されるべきなのだ。
「大丈夫。何とかするよ。心配しないで。」
「・・うん・・ありがと・・」
躊躇いがちに仔狼は差し出された右腕に牙を立てる。
恐怖に縛られていない筋肉と牙は皮膚を喰い破った。
鋭利な痛みと出血。そこが微かに熱を帯びる。
生暖かい仔狼の舌が傷口を舐めあげ血を体内に取り込む。
仔狼の唾液が傷口に染み、流石に呻かずにはいられなかった。
「ぁ・・」
消え去りそうな声を漏らした仔狼の表情が陰る。
ここまで良心の育ったこの仔には僕の表情は相当なストレスを感じることだろう。
己が他人を傷つけるこの行為に慣れるまでは暫く耐えなければならないだろう。
本当ならこんな思いなどしなくとも楽しく生きられただろうに。
「だ、大丈夫だよ。気にしないで。」
痛みに顔をしかめてしまう己を叱りつけ、余計な負担を避けるために笑顔を作る。
ところが仔狼は目を伏せると止めた。
「ごめんなさい・・し、食欲がなくて・・」
これは・・嘘だ。
表情と言動を見ればすぐに分かった。
その良心故に罪悪感を感じ”食べたい”と言う本能を理性と良心が押さえ込んだからだ。



<2011/05/13 23:50 セイル>消しゴム
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