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友達以上、それ未満。 − 旧・小説投稿所A

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友達以上、それ未満。
− 不運な四匹 −
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アリーナでポケモン達に大絶賛らしいのがここ、「BATTLE of アルカノイド」だ。
何でも、六匹を乗せた回転テーブルのようなステージの上で、
ぐるりぐるりと変わっていく対戦相手を打ち負かせば勝利らしい。


「いっぱいいるね〜…今日中に入れるかなぁ?」

「大人気なのは分かるが、これはあんまりだろう…」


参加希望のポケモン達が、ありの行列のように順番を待っている。
二匹は「最後尾」の札が立っている所に並んだが、どう少なく
見ても二時間はかかりそうだ。

諦めて他のアトラクションへ行こうとした、その時・・・


「えー、招待券や優待券をお持ちの方は、
係員がご案内しますので挙手してください!」

「「…招待券?」」


ギラティナはチラッと自分達のチケットを見下ろすと、確かに
金文字で「招待券」と書かれている。おそるおそる手を挙げると・・


「いらっしゃいませ、ようこそいらっしゃいました」


愛想のいいルカリオが現れ、肉球の付いた手を胸に押し当てて跪いた。
あまりの優待ぶりに、周囲の目がジロジロと寄せられる。二匹は
開いた口が塞がらないまま、凛々しい顔立ちのルカリオに手を
引かれていった。


==================


「こちらからステージに入場して頂きます。
ご準備の方は、よろしいですね?」

「あっ、質問いいかな?」

「どうぞ」

「勝った相手は、食べてい〜ですか?」


非常識な質問だったが、ギラティナはクスッと笑うだけだった。
彼もまた、それを聞こうとしていたのだ。


「ええ…ここは人間の法律が届かない場所。
殺しも脅しも略奪も….全て許されるテーマパークですから」


礼儀正しいルカリオの口が、にやりと三日月のように微笑んだ。
その係員の野生的な獣としての一面が、「モンスターアリーナ」の
名前の由来を物語っていた。カイオーガは意地悪く手ぐすねを引き、
ギラティナと一緒にステージに飛び出していった。



==================



「王波.…大合唱ぉ!!!!!!」

津波をヒレの中に収め、相手のバンギラス目がけて撃ち放つ。水の勢いはステージ全体にまで及び、ギラティナ以外の参加者を水浸しにした。


「ゲホッゲホッ…あの野郎…ってどこいった!?」

カイオーガの姿を見失い、右往左往するバンギラス。荒々しく
首を振るあまり、ギラティナの視線が自分の上に向いている事
に気づけなかった。


ドッシャァァアアアアアンッ!!!!!

「ぐっ…ぐぶぇ…!」

「へへ…ボクって重いかな?」


ぷにぷにと柔らかい身体でも、空から降ってくれば相当の威力になる。
バンギラスは巨体の下敷きになり、肺が押しつぶされて悲鳴も出せない。

「ぐ…ぐふぅっ….重すぎ……」

「あ〜あ〜、気絶しちゃったよ」

あっさり白旗を揚げた獲物を、カイオーガは頭から口に押し込む。
逆さまの状態で呑み込めば、一番相手に恐怖感を味わせてやれる
からだ。最も、捕食される本人はプレス攻撃で昇天してしまったが。


ゴキュッ…ゴキュッ…

バンギラスも比較的巨大なので、喉を二回鳴らして呑み下す。
彼の食道に押し揉まれる感覚こそ、大蛇の腹の中そっくりだった。


「はい、終わり。美味しかったよ♪」

久しぶりのポケモンを食い、少しぽっこりしたお腹を撫でる。だが、まだ「ごちそうさま」を言うには早すぎる。バンギラス一匹など、彼にとっては前菜に過ぎないのだ。

鷹のように鋭い目つきを、他の三匹のポケモンに送り付けた。


「ひ…お、おい係員!!
お、俺は棄権させてくれ。こんなルール聞いてねぇぞ!?」

参加者の一人、エルレイドがルカリオに盾突いた。


「まあまあ落ち着いて….ほら、前見てないと怪我しますよ?」


その通りだった。よそ見をした彼の足は、腹を空かせたギラティナの口に咥え上げられた。ギャーギャーと不平不満を並べるが、ギラティナは冷たく言い返す。


「…私に言うな。社会に言え」


それが、エルレイドの人生で最後に耳にした言葉だった。ギラティナ
はカイオーガとは違う、血のように赤い舌を彼に絡め、何事もなかった
かのようにゴクンと呑み込む。デートの緊張で朝食もまだだったため、
彼も吐き出す気は毛頭ない。



「げぇふっ….あ、しまった…」

食後のゲップ癖が、愛しのカイオーガの前で出てしまった。慌てて口に翼を当て、彼の様子を見ると・・



「グェェップ….!! ふぅ〜満足満足っ♪」

明らかに腹の底から出ているゲップだった。残っていた最後の二匹も、
彼がまるまる呑み込んでくれたようだ。
ほっと一息ついたと
同時に、ゲーム終了のブザーが鳴り渡る。ルカリオがパチパチと
手を叩きながら、こちらも満足げな笑みを浮かべて歩いてきた。


「いや〜見事に全員、あなた達の胃袋送りです
ね。助けてあげないんですか?」

「だって売店でお弁当買うのはもったいないし…ね〜♪」

「あ、ああ…同感だ。」


二人とも所持金はほとんど無いので、昼食は自前(拾いもの)で
済ますしかない。元よりそのつもりだった。


「さぁそろそろ出るか….つ、次のアトラクションにも行きたいだろう?」

「もちろん♪ できれば今みたいな所がいいなぁ」





<2011/08/03 20:39 ロンギヌス>消しゴム
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