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カードに溺れろ 〜Dead or Money〜 − 旧・小説投稿所A
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カードに溺れろ 〜Dead or Money〜
− 最初の脱落者 −
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「Mr.ゴルダック、賭け金はいくらになさいますか?」

「ご…五十万円だ。ほ、ほらよっ」

「結構。確かにお預かりしました」


テーブルの上に放り投げられた札束を、ラティ
オスは自分のそばへ置いた。


「それでは…お先にどうぞ?」

ディーラーの合図でスタートする、死を賭したブラックジャック。
ゴルダックは震える右手を山札に乗せ、最初の一枚をめくった。


ーーーースペードの7。


「次は私の番ですね…失礼」

ラティオスは二枚目をめくり、スペードの7の
上に重ねて置いた。ダイヤの6だ。


「(……足して13か…ここで8が出れば俺の勝ち…)」

13+8=21の式が頭の中を飛び回っている。ゴルダックは決死の思いで、運命の三枚目をめくった。



ーーーーーーダイヤの6だ。

「よっしゃぁああああっ!!!!!」


思わず歓声が喉から飛び出してしまう。やった。
21に到達するまで、あと2だ。このラティオスの勝負運が
相当に強くない限り、1か2はまず出ないだろう。



「あらら…いい数字を出してくれましたね…」

「ヘヘッ…ディーラーにドロップアウトは出来ねぇ。大人しく150万円払いな…」

「・・・・」


ラティオスは無言で、山札の一番上にあるカー
ドを凝視した。ゴルダックは些細なトリックを
恐れたが、自分の目の前でやるはずがない。
そうあれこれ考える内に、ラティオスは既に四枚目を裏返していた。



ーーーークラブのエース。
ゴルダックは数字を見た途端に、世界が信じられないという顔をした。テーブルをバシンと叩き、恐怖に引きつった顔でラティオスに反論する。


「お、おいてめぇ…イカサマしたんじゃねぇのか!!?」

「いいえ」

「う、嘘つくな!!! あの状況で1なんてでる訳が…」


負けるのを恐れる余り、疑心暗鬼になったゴルダック。冷酷さ
を顔に出さないディーラーは、呆れたようなため息をつき、彼
の首を掴んで持ち上げた。


「規則では私の判断で….あなたのような参加者は無条件で
【負け】にできるんですが、どうします?」

「あがぅ…は、離しt…分かったちゃんとやる…ぅ…」


他の参加者の前で脅され、興奮しきった頭も冷えただろう。
椅子に座り直しながら、ゴルダックは掴まれた部位をさすっていた。
このラティオス・・・凄い握力だ・・


「ではどうぞ引いて下さい? 五枚目を」

「うっ…」


ここでエースが出れば、大逆転で勝てる。しかしそれ以外のカー
ドを引き、数字の合計が21を超えたとき….自分は食い殺される。

生唾を飲み込み、ゴルダックは目を閉じてカードを裏返した。






ーーーーーーハートの9


「いやだぁあああああああああっ!!!!!!!!」

ゴルダックの悲鳴が、ディーラーや参加者の耳を貫いた。
自分の椅子を蹴倒して逃げようとするが、 警備員の
黒めがねに床に押さえつけられる。


「はっ…離せ!!! 死にたくねぇんだ…な、何でもするからよぉ…」

「残念ながらルールですからね、例外はありませんよ♪」


ふと上を見上げると、ラティオスが嬉々とした表情で
自分を見下ろしていた。冷淡な悪魔のような迫力に、
抵抗する気力がしぼんでいく。


「Mr.ゴルダック。あなたは今、ハートでゲー
ムに敗れましたね? それではこちらにどうぞ」

「な、何だよ…ハートなら何か変わるってのか!!?」

「ええ、あなたの処刑人が変わります」


ラティオスは彼の顔から、血の気がサーッと引いていく
のを感じ取った。
何者かに
これから食われる者が見せる、最後の表情だ。ゴルダックの
がくがく震える腕を掴み、別の部屋へと移動するラティオス。



「ハートで敗北した場合、処刑人は・・・」

「あ….ひいっ…!!! な、なんだよこいつぅ!!」


ゴルダックは恐怖に駆られ、隣のラティオスに飛びついた。
闇色の扉から姿を表したのは・・


「ようラティオス、マスターが無断勤務は禁止だって嘆いてたぞ?」

「…私とは一切の関係がない、人工竜バビロンです」

「おいおいw 関係なら嫌というほどあるじゃねぇか」


絵の具よりもずっと黒い両翼。血走ったように赤い瞳。
ラティオスの最も苦手な捕食者が、そこにいた。


「で、今回の敗北者はそれか?」

「ええ…後始末はお願いします。私はゲームを再開しますので」


ラティオスは必死に暴れ狂うゴルダックをバビロンに引き
渡すと、そそくさとゲームルームに戻ってしまった。
幽霊でもいそうな淋しい個室で、初対面のバビロンと二人きり・・・



「なぁおい….死にたくねぇか?」

「お、お願いだ….一生奴隷でもするから…命だけは取らないで…」

「ククッ….そうだよなぁ? 生きてたいよなぁ? 死ぬのは怖いもんなぁ?」


ぶるぶると振動するゴルダックの首筋を、まだ
唾液の出てない舌になぞり上げられる。嫌に柔ら
かい肉の感触に、思わず変な声を漏らしてしまう。


「あふゅぃ…!! や、やめろ…」

「フフ…やめない」


あっさり返し、小さな小さな上半身を咥えるバビロン。彼の唾液の滴る口からは、水色の足腰が空しい悶えている状況だ。


「謝れば助けてもらえるのが当然と思うな? 軽い気持ち
でここに来たのが…そもそもの間違いだ。この強欲アヒルが」

「お、俺はコダックじゃねぇっ…!!」


バビロンは器用に喋りながら、下半身を悶絶させるゴルダッ
クを咥え続ける。別に舐め回す必要などなかった。抵抗すれ
ばするだけ…ゴルダックの脚の筋肉は疲れるだけなのだから。


「はなっ…ぅづ…離せ…」

「もう気が済んだか? いつでも呑み込んでやるんだが」


計算どおり彼の脚は、まるで体力を吸い取られたようにダラン
としていた。バビロンは牙に引っ掛けないよう注意しながら、
そっと電灯のない天井を見上げた。


ズルズル…ズルッ…ズププ…

「んぶぅっ…な、なんだこれ…!!」

「私の喉だ。お気に召さなかったか?」

「あ、当たり前だああっ…!!」


ちょっぴり温かい肉洞への入口。
頬にむにっと喉肉が張りつく感触に、ゴルダックは背筋を凍らせた。

バビロンは有無を言わせず、抵抗する気満々の彼を喉の奥へ
と沈ませていく。喉を動かさなくても、水色の体は自動的に
にちゅにちゅと粘液の触れ合う音を立てて落ちていく。


「い、いやだぁ…助けてぐれ…ぅ…」

「心配するな…お前がトロけちまうまで、話し相手にはなってやるよ」


呑み込まれる。そしてもう二度と、この部屋の床を踏む
事はできない。湿気と温もりに満ちた竜の体内で、ずっと
胃壁に揉みしだかれるのだろうか・・・もしくはすぐ
消化されてしまうのか・・・



ゴックン・・・んぎゅ、んぎゅ・・

「あっ…」


ゴルダックは表面のぬるぬるした喉肉に一瞬だけ圧迫され
ながら、自分が呑み下される響きを耳にした。ぷよぷよと
弾力のある食道の肉に、全身を余すところなく揉まれる。
当然だが、どんな鱗に覆われた竜だろうと、体内はこのよ
うに柔らかい事実。それに・・・体温が直に伝わってくる
のも、気持ち悪いとは言えない。


「げぷっ….ッフフ…ごちそうさん」


設計ミスなのか食生活が最悪なのか、バビロンの胃袋
は想像を絶する悪臭で満たされていた。新鮮だった肉
が、胃酸でいきなり腐り果てたような・・鼻を取り外し
たくなるほどの異臭。


ゴルダックの嗅覚は、五分と持たなかったそうだ。




<2011/08/08 14:36 ロンギヌス>消しゴム
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