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【保】神々の戯れ − 旧・小説投稿所A

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【保】神々の戯れ

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ローブの下には狩衣をさらに簡略化させたような服を着ていた。
月夜兎の毛並みと同様に真っ白で、どことなく神々しさを感じさせる。

「では今から行ってきます。あともうちょっと辛抱してくださいね」

準備運動のつもりなのか、月夜兎はピョンピョンと軽く飛び跳ねる。

「月夜兎様、本当にありがとうございます。どうお礼をしたらいいのやら」

「それでしたら」

男の言葉を聞いた月夜兎はくるりと振り返った。

「来年のお供え物はニンジンをお願いしていいですか?私はニンジンが大好きなんですよ」

「分かりました。丹精をこめて作ったニンジンをお供えいたします」

月夜兎は満面の笑みを浮かべ、小さく『やった!』と呟いた。

「よーし、じゃあ今度こそ行ってきます」

そう言い残して月夜兎は夜空の下へと飛び出した。

水神は村から少し離れた岩山の洞窟に住んでいた。
とはいってもそれを知っているのは水神と親しくしている他の神たちだけだ。
ちなみに月夜兎は水神とほぼ同い年で、同じ地域出身ということもあって親友同士である。

「ふう、到着っと」

岩山の麓に到着した月夜兎は山を見上げる。
いわゆる小山程度の大きさなのだが、いかんせん岩肌が露出した急斜面ばかりでとても登ることなど出来そうにない。
しかし月夜兎はウサギの姿をした神様。
うまい具合にピョンピョン跳ねながら山を登っていく。

「おっ、ここだな」

岩が迫り出していて足場のようになっている場所へと降り立つ。
だがそこには大きな岩があるだけ。
ところがよく見ると岩の表面には何やら文字らしきものが書かれていた。
それは神たちが使う文字であった。

「なになに、『起こさないでください』だって?……うん、無視だな」

月夜兎の姿がすっと消えた。



<2011/12/05 22:45 とんこつ>消しゴム
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