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捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜 − 旧・小説投稿所A
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捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜
− 約束は守りましょう −
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爆発と言っていいほどの轟音につられ、ギラティナ達は振り返る。
海中から噴き出た水流が、竜巻のような勢いで天を目指しているの
が見えた。
ギラティナの直感が、カイオーガの仕業だと告げていた。

「あれ……兄さんのハイドロポンプですかね」

「私はカノンの方だと思うけど」

「気をつけろ。何か降ってくる」

バビロンによる忠告の直後、ラティオスとレムリアは身を翻して、
空から降ってくる巨大な肉塊を避けなければならなかった。ピンク
色のアメーバ状のそれは、ドチャッという生々しい音とともに甲板
の中央に落下する。見るからに毒々しい雰囲気を漂わせているその物
体に、綺麗好きのレムリアは顔をしかめた。

「何これ……こ、この中にマスターが入ってるっていうの……?」

「まあそういう事になる。それを確認したからこそ、カイオーガも
こいつを海から投げてきたんだろうな」

「えへへ……よく分かってるね、バビロン」

ラティオスが悲鳴よりの叫び声を上げた。
ちょうど、彼の背後からカイオーガが這い上がってくるところだった。


「に、兄さん……もっと堂々と帰ってきてくれませんかね」

「文句言うなら食べちゃうぞ♪」

「それより、これがブロブというのは間違いないのだな?」

「100%確かだ。問題はマスターが捕らえられているかという話だが……」

バビロンは無秩序に蠢いているスライムに恐れを抱くことなく、
素手でその軟体を掻き分け始めた。やがて中から、消化液にまみ
れた人間の腕が出てくる。疑いようもない、ロンギヌスの細い腕
だった。バビロンは手首を鷲掴みにし、力を込めてロンギヌスを
引っ張り出した。

「相変わらず凄い根性というか……性癖というか……」
「どこでも生きていけそうね……この人……」

ロンギヌスの焦点の合わないアヘ顔を見て、二人が呆れたように
呟いた。この調子だと、病院どころか救急箱も要らないだろう。
いつでも連絡できるよう構えていたロンギヌスの携帯を、レムリ
アは彼のスポーツバッグの上に放り投げた。


「さ、問題はこいつをどうするかだが……」

ブロブは貴重な獲物を腸から持っていかれたためか、1/3程度の
大きさにまで小さくなっていた。バビロンの目が不気味に光る。

「フフ……良い実験材料になりそうじゃないか……」

バビロンは知的な好奇心を煽られた様子で、どこからともなく用意
した試験管の口をブロブに突き刺した。
採取したサンプルを間近で眺めながら、堪えられない笑いを洩らす。


「帰ったらじっくり料理してやる……フフ……」

「バビロンさん、それはいいんですが、この残った部分はどうする
気ですか?」

「私が見た感じじゃ、こいつは魚と同じで長くは地上にいられない。
出来ればもっとサンプリングしておきたいところだが……もう試験管
の持ち合わせが無いんでね。海に帰すのが得策だとは思うが」

「……分かりました」

好奇心旺盛なバビロンとは違い、誰もブロブに触れようとしない。
結局、ラティオスが念力で海に放り込む羽目となった。最後の水柱
が空に打ち上がった直後、全員の口から同時に溜め息がこぼれる。


「どうしよっか……マスターのせいで今日のクルーズ壊れちゃったね」

「いえ……原因はうちどす。うちがもっと目を配っとったらこんな事……」

「いいじゃないですか。マスターも嬉しそうですしね」

仰向けになったまま笑顔で爆睡するロンギヌスに、ラティオスが皮肉100%で吐き捨てた。

============


その後、ロンギヌスの発見を境にクルージングは終わりを告げた。
あの磯臭い停泊所に船を戻し、誰も欠けることなく旅館へと戻る。
しかししんがりを務めて旅館のゲートを潜ろうとしたカイオーガの
前に、突如ダークライが立ち塞がった。


「せ、先輩……あの……」

「ん〜?」

爪先を意味もなくいじり倒しながら、上目遣いにダークライは声を
絞った。カイオーガは皆に置いていかれることに一瞬注意を向けた
が、すぐに彼の顔色を見て悟った。


「ハァ……分かったよ、約束だもんね」

「え、ま……マジッスか!!?」

「今日はいろいろと役に立ってくれたから……」

「うっひょー!!! 先輩アイラブユーッス!!」

胸に飛び込もうとしてきたダークライの腕を掴み、カイオーガは彼
を旅館の裏へ連れていった。旅館の建設に使われる予定だったであ
ろう木材やパイプが、無造作にほったらかしになっている。宿泊客
はもちろん、従業員の姿も無かった。

ダークライは壁とカイオーガに挟まれるようなポジションに立ち、
自らの逃げ道を消す。これからカイオーガから貰える「ご褒美」を、今
か今かと待ち構えているようだった。しかし人目に付かない捕食劇の前
に、カイオーガはひとつ忠告した。


「……最初に言っておくよ。どんなに僕が何をしても、絶対に変な声を
上げたりしないって誓える?」

「じ、自信は無いっすけど……分かったッス」

「へへ……それなら……!!」

カイオーガの表情は、獲物を狩る際と何ら変わりなかった。電柱並みの
太さの舌を螺旋状にダークライに巻きつけ、窒息させる気で締め上げる。
ダークライが歓喜の声を堪えているのは一目瞭然だった。その抵抗がカ
イオーガの加虐心に火を付け、束縛をさらに強める。彼にとって、歓喜
の喘ぎさえ出さなければ、ダークライも別に嫌悪の対象ではない。

れろれろぉ……ぶにゅ……

「あっ、センパ……」

「ほーらほらぁ。変な声出したら僕帰っちゃうよ? それでもいいのかな?」

「だ、駄目ッス……やめて……」

ゴム毬のような柔らかさを誇る舌先が、ぐりぐりとダークライの頬に
押し付けられる。人間の手で撫でられるよりもずっと過激で温かい責
めに、ダークライは懸命に喘ぎ声を呑み込む。

「えへへ……♪ 季節外れのマフラーはいかがですか?」

ダークライの赤い首元にぐるりと舌の胴を絡め、むぎゅむぎゅと唾液
を含んだマッサージを繰り返す。まるで太過ぎるロープで首を締めて
いるような外観だ。首筋を通っている血管が舌肉の熱によって温めら
れ、溜め息が洩れるような快感を生んだ。

「はぁぅ……先輩……はぅ……」

「ん? 今ちょっとだけ喘いだよね?」

「ち、違うッス!! 今のはただ……その……」

「……ふぅん、まあいいや。それじゃあ第二段階に進もっか」

「第二……段階……?」

カイオーガによるご褒美プレイが、首筋のマッサージなどという生半
可な物で終わるなどあり得ない。洋食で例えるなら、まだオードブル
も出ていないのだ。
カイオーガは首に巻き付けた舌を解き、今度は彼の下半身を集中的に
拘束した。まるで縄文土器にロープで網目を付けていく作業のように、下からギュッギュッと舌を密着させて巻き付ける。やがて、彼の胸までがむっちりとした舌
に包まれた。身を捩るどころか、身震いさえも許さないほどの圧迫感。
あまりに強く締められたためか、ダークライの顔が多少赤みがかった。


「これでよしよし♪ そして……!!」

「え、あ……うわぁぁッ!!!?」

ダークライからすれば、想像したこともない快感だっただろう。
カイオーガは彼の頭部をパクリと咥えたまま、渾身の勢いで息を吸い
始めた。手心など加える様子もなく、ひたすらアイスの木の棒から味
を搾り取ろうとする幼子のように。

「死ぬほど吸ってあげるからさ……干からびちゃ駄目だよぉ〜?」

「あっ、あああっ……!!!」

先ほどの舌マフラーで塗りつけられた唾液が、凄まじい吸引力によって
吸い上げられていく。カイオーガは酸素が尽きるとしばらく彼の顔面を
舐め回した後、再び吸引を始めるのだった。チュゥチュゥという唾液が
風に呑まれる音と、くぐもった叫び声だけが旅館の壁に反響する。



ぎゅむ……ぎゅむぅ……

「あれれ、もうダウンかい?」

脳みそまで吸い取られてしまったのか、もはやダークライは意味不明
な言語を並べるだけだった。
カイオーガは彼を解放し、ニヤリと笑みを咲かせながら腰に手をやる。
吸い上げ損ねた唾液が、粘液質な音を立てて彼の口の中にジュルッと
吸い込まれていった。





<2012/04/01 22:38 ロンギヌス>消しゴム
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