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ケンケンパァ!だよ、人生は。 − 旧・小説投稿所A

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ケンケンパァ!だよ、人生は。

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「ハァ…ハァ……な、なんだよ今の……ハァ…」

息を切らしながら、バクフーンが尋ねる。
現状況 結局、
元居た 広い部屋に戻ってきてしまっていた。

「……ハァ…ハァ……い、一旦 降りてくれ……」

しゃがんでゆっくりとバクフーンを降ろすルカリオ。
当然のことだが、体力も限界に達していたようだ。
とりあえず呼吸を整えてから 座ってバクフーンと向き合った

「今のは おそらく、いや、間違いなくベトベトンだった。」

「ベトベトン……」

「あんちゃんの火炎放射の光で 一瞬見えた紫色と、
 未だに残る この独特の刺激臭。更に感触。
 たぶん集団で壁に擬態して、
 蜘蛛の巣のように獲物を狙っていたんだろう。」

ハッとした顔で バクフーンが顔をあげる。

「じ、じゃあひょっとすると、
 この洞窟での失踪の謎って……」

「何も知らねぇであの壁に突っ込んで、
 何もできねぇまま食われた。ってとこだろうな。」

驚愕の真相だった。
そりゃあ骨も残らない完全失踪なわけだ。

「でっ、でででっ、出よう! 早く! この洞窟から!」

バクフーンの声が急に震え始めた。
このような出来事があっては無理もない。

「そう言うと思ったよ。だが、出口はどれだ?」

「えっ……」

ぐるりと一周 見渡す。
形がバラバラな穴が点々と並んでいる。
とどのつまり、入って来た穴がどの穴だったのか さっぱりわからない。
さっきの騒ぎで ごった返してしまったようだ。

「よっ、よし、じゃあ 誰かが入ってくるまで待t……」

「誰が入ってくるってんだ? こんな恐ろしい洞窟によ。」

「うっ……」

「それによ、ここで長居はできねぇぞ。」

「な、なんでっ!?」

あからさまに怖がり丸出しのような 裏返った声。
その表情すらも引きつって涙目になっていた。
それに落胆しているのか否か、
ルカリオは呆然とした目でバクフーンを見ている。

「いいか、ベトベトンは大して視覚や聴覚は良くねぇが、
 俺たちの汗、息の匂い、更にあんちゃんの足からにじみ出ている
 血の匂いにも寄ってくる。
 もたもたしてると 囲まれて逃げ場がなくなるのがオチだ。」

「そんな……」

「兎にも角にも 移動しよう。
 さっき出てきた穴の反対側の道なら、出口の可能性が高い。」

ルカリオは未だ怖がっているバクフーンを背負いあげた。
当然ながらその動作は、最初背負った時よりも重苦しく感じられる。

背中から伝わってくる、言わずとも理由のわかる振動に
ルカリオはまた呆れた表情を浮かべた。

しかし、背負うことで必死なルカリオと 怯えきったバクフーンは、
今から入っていく道が、
この洞窟に入ってきた穴よりも明らかに大きいことに気がついていなかった……。






なぜか この話のルカリオさん、
私の頭の中では
山寺さんボイスで脳内再生されてます。
な、なぜだろう!

<2012/08/23 21:27 ギン鶴>
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