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VD − 旧・小説投稿所A

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VD
− 4 - 喰ふ −
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『・・・それじゃ、いただきます♪』

その言葉が聞こえた直後、僕の真上で彼女の口が開かれた。
暗い中でもはっきりと見える・・・綺麗に並んだ白く鋭い牙、
早く獲物をよこせと言わんばかりにうごめく舌、
そして・・・胃という名の終点に繋がる黒々とした喉・・・
だが、その3つが見えたのは一瞬だけ・・・直後、僕は上半身をくわえ込まれ、
体を持ち上げられていた。

「うわっ!は、離して!!」

何とか抜けようと、体を動かそうとはしてみた。
だが暴れようとすると、牙がお腹に食い込み痛みを感じる。

『逃げようとしても駄目よ♪』

僕を口に含みながら、彼女はそう言った・・・いや、僕を口に入れても喋っているのはおかしい。
いまさら気がついたのだが、彼女は声ではなく、テレパシーの様なもので僕に話しかけていたみたいだ・・・

『フフフ・・・』

そんな事を考えていたら、彼女は手を使い、僕の下半身も口内に入れた。
全身が口内に入った瞬間、待っていたのは舌による責め。
僕は上顎に押し付けられて、舌による圧迫と、ゆっくりとしたなめ回しを食らった。

「ぐ・・・うううぁぁ・・・」

呼吸が出来なくなる程強い圧迫では無いものの、苦しいものは苦しい。
おまけに、先程以上に舌が顔、体に密着するせいで、ヌルヌルする唾液がどんどん体についてしまう。
それでも、「この舌のスピードは秒速10cm位だな」と考えてしまう僕の心って・・・一体何なのだろう・・・

「うう・・・うっ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

5秒たったのか、1分たったのかは分からないが、しばらくして舌の圧迫は終わり、僕は安堵した。
だがそれもつかの間の話、舌はすぐに次の行動を初め、僕の体に巻き付き、締め付け初めた。

「う、うああいい・・・」

先程と同じく、息が出来なくなるほどの強さでは無いため、何とか呼吸は出来る。
だがそれだけ。手足はまるで動かせず、ただ締め付けられている事しか出来ない。

『・・・そろそろ味が薄くなってきたわね・・・』

その言葉が聞こえた後、僕は締め付けから解放され、平坦になった舌の上で伸びていた。

「ゼー・・・ゼー・・・ゼー・・・ゼー・・・」

あんな事をされたお陰で、僕の心臓はバクバク言っていた。もう・・・これ以上やられたら・・・

『ありがとうね。美味しかったわよ♪』

食われた時にその言葉を聞いて、獲物はどう思うか・・・安堵し、逃がしてもらえるものと錯覚する。
僕も例外ではなかった。一瞬僕は逃がしてもらえるのかと思ってしまったのだ。
・・・だが、今更逃がしてもらえるなんて、そんな都合の良すぎることは起こりはしない。
安堵している僕を、舌は先程のように上顎へ押し付けた。
「何だよ、終わったんじゃ無いのかよ!」と思いながら僕はまた押し付けられるはめに・・・
だが、押し付けられてから気がついた。さっきよりも圧迫感が弱い
この押し付けは、味わうためと言うより・・・もっと別の・・・
それが何を意味するのかは分からなかったが、何か嫌な予感しかしなかった。

・・・そして大抵、そんな予感は当たっているものだ。
案の定、僕の目の前にはあるものが見えた。
くわえ込まれる瞬間に見えた3つのうち、まだ触れても、体験してもいないもの・・・
そこへ僕は口内から押し出されるように運ばれていく。それが意味するのは一つ・・・終わりと言うことだ。
つまり、僕の体は喉に向かっており、彼女は・・・フェリアは、僕を飲み込もうとしているのだ。

「・・・まって・・・まって!止めて!まだ死にたくない!!」

だがその願いは彼女へは届かなかった。例え届いていても、今更途中で止めることは出来ない・・・
そして、僕の体は、僕の叫びと共に喉に入っていき・・・

・・・ゴクッ!


<2012/11/18 22:04 想西>消しゴム
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