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VD − 旧・小説投稿所A

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VD
− 7 - 欲望 −
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彼女が居候を始めてから4日が過ぎ・・・今週の終わり、土曜日になった。
土曜日でも僕は高校があるので、今日もいつものように学校に向かった・・・

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1時限目の数学の授業の時から、僕はずっと考え事をしていた。
うちに居候してきた竜・・・フェリア。彼女は、僕が美味しいから居候したと言っていた。
でも・・・僕を食えるのは1日に1回程度。本人曰く・・・いや、"本竜"か・・・曰く、

「1日1回で十分よ。私の体の大きさからしても貴方は大きいしね♪」

・・・とのことだが、それだと・・・ほぼ1日中暇で暇でしょうがないはずだ。
もし僕が彼女なら、居候なんて面倒な事はせずに・・・連れ去るか・・・毎日食いに行くか・・・そのどちらかをやる。
・・・そもそも、僕を食うためにしてはフェリアは優しすぎるし、何かと手伝ってくれる。
もしかして・・・フェリアは、何か、別の意図があって僕の家に来たんじゃないだろうか・・・

「おーい壱冢、聞いてるか?」

「は、はい!すいません!!」

・・・考えても考えても、疑問は増えるばかり・・・結局、自分の納得のいく結論は出ずに、
土曜日限定の3時間授業を終えた。

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「ただいまー・・・」

いつもより早い・・・まだ外が明るい時間に僕は帰ってきた。
道中もずっと考えてばかり・・・しかし、結論は出ず・・・

「あら、お帰り♪やっぱり土曜日は早いのね・・・」

寝室に入ると、僕の布団の上で横になり、枕の下に隠してあった3DSで遊んでいるフェリアが居た。
何をやっているのかと思えば、今僕のマイブームとも言える「タイムトラベラーズ」。

「これ面白いわねw 勉強サボってやりたがるのもよく分かるわ♪」

止めてくれ、僕の心に突き刺さる一言を言わないでくれ。
そう心の中で突っ込みながら、重くて肩が痛くなるカバンを置いた。

「特にこの"ルサンチ☆マン"って主人公。小太りで〜プニプニしてて〜とっても・・・美味しそう♪」

・・・ああフェリア、君が人間に対して抱く感情は「美味しそう」しか無いのか?
普通、人間相手にそんなこと言ったら、怖がられるぞ。

「うう・・・食べてみたいわぁ・・・」

横目で見てると、フェリアは口から涎を垂らし、画面の中でクルクル回っているルサンチ☆マンを見ている。
幸いにも3DSにはかかっていないようだ。
かかるとすれば枕だが、フェリアの涎や唾液はすぐに乾く上に、
何故か臭いも残らない。むしろ、消臭効果がある程だ。

問題なのは、だんだん涎の量が増えている事。
こういうとき彼女はどうするか予想し、僕は後ろで服を脱ぐ・・・すると、案の定・・・

「ああ・・・もう我慢出来ないっ!」

フェリアはそう叫び、振り向いて僕を見る・・・その途端、尻尾が足を拘束して、僕は逃げられなくなった。
まぁ・・・例え逃げたところで、すぐに食われてしまうのだが。

「フフ・・・彼はゲームのキャラクターだから食べられないの。だから・・・かわりに貴方を食べるわね♪」

そう僕に言い、竜人姿のまま顔をなめあげる。
これ、どうやら彼女の癖らしく、舐められる時に真っ先に舐められるのは顔。

「うっ・・・止めて下さいよ。せめて寝る前に・・・」

言ったところで無駄だとは分かっていた。でも、これで少しでも引き伸ばせれば、食われる心の準備を整えられる。

「・・・ねぇ、どうしていつも嫌がるの?」

「・・・え?」

「毎回食べられたくなくて、話をしたり夜中に伸ばそうとするじゃない。どうして?」

唐突に聞かれたその質問に、僕はすぐに答える事が出来なかった。
どう答えて良いのか分からなかったからではない。答えは簡単「食われるのが嫌だから」。
ただ・・・そんな、当たり前すぎる質問が、僕の疑問を更に増やしたのだ。

「・・・決まってるじゃないですか・・・食われるのが、嫌なんです。」

「あら・・・どうして?」

「どうしてって・・・身体中を舐められ、粘液まみれにされ、圧迫されて呑まれるんですよ・・・
しかも、中に入ったら体が生きたまま溶かされ、死ぬんですよ?
蘇生されるとはいえ・・・嫌なんです。いや、嫌と言うより・・・怖いんですよ。食われるのが・・・」

思っていた事を全てぶちまけ、僕は答えた。
食われる事を嫌がる最大の理由は、その苦痛と死。彼女に限っては、消化の痛みも無く、蘇生されるのでその心配は無い。
だがそれでも、不快感は残る。それによる食われる事に対する嫌悪は変わらないのだ。

「・・・」

僕の言葉を聞き、珍しく彼女は黙り込んでいた。いつもならすぐに何かを言って、僕を食うのだが・・・

「・・・貴方、食べられるのが怖いのね・・・」

「普通、皆そうですよ。」

「・・・だったら、今日は不快感を打ち消す程の快感を与えるわ♪」

ちょっと待て、快感を与えるってどういうことだ。
そんな風に考えている僕の目の前で、彼女はさっきまで浮かべていた深刻そうな表情をすぐに笑顔に変え、
だんだん元の姿に戻っていく・・・
元に戻ったら、当然部屋より大きくなる。だが彼女は、まるで幽霊のように壁をつきぬけ、元に戻った。
・・・いつものように。

『さて、獲物としての覚悟は良い?』

元に戻った途端、彼女はテレパシーで僕に話しかける。
それに、僕はいつものように答えた。

「・・・そんな覚悟、できてるわけ無いじゃないですか。」


文字数が2222文字・・・このなんか縁起の良い数字を祝って。アンケートとります。

Tail VOREは好きですか?嫌いですか?
<2012/11/18 22:04 想西>
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