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表裏一体 光の頂 − 旧・小説投稿所A

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表裏一体 光の頂
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「お久しぶりでございます・・」
私は神ヶしい明光に照らされた神窟の中で腰を下ろし深々と頭を下げる。
色鮮やかで何とも言えない美しい蒼色の絹のような毛を纏う狼。
言葉では表現不能な人間なら目から鱗並みの朱色の毛を纏い、九つの尾をもった九尾の狐。
「葵父上、椿母上、そして・・」
その後ろに鎮座する圧倒的な存在感を放つ存在。
他者を威圧する威厳を放ち続ける。
「柊お祖父(じい)様・・・」
葵父上は狼の獣神。椿母上は狐の獣神。
柊お祖父様は獣神の最高神・・竜神。
私はその最高神の血を引いた息子なのだ。
その高貴なる血族に堕神がいるなどと・・
私は改めて、事の重大さを悟る。
「楓・・一体どうしたのだ?我譲りの力が感じられないな?」
「私譲りの尾も四つしかない・・それに片目は見えないんでしょう?」
生まれた時点から、一つの村を納められる程の力を宿していたのは葵父上譲りだった。
この毛並みの美しさ、九つの九尾も椿母上譲り。
そして今までに力に溺れることなく堕ちなかったのは柊お祖父様の血統だからこそだった。
そんな血統に私は・・私は・・
「・・・堕ちたのか・・楓よ?我の血を汚したのか?」
柊お祖父様の竜眼が私を射ぬく。
最高神の力が私を貫く。
身動き出来ず、目も動かない。
お祖父様の瞳から離せられない。
「っ!はーっ・・はーっ・・」
呼吸さえも忘れていた。
私とて神の端くれ、ここまで力の差を突きつけられると最高神の力量が肌で感じられる。
「お祖父様の・・仰るとうりでございます・・」
激しい疲労感を感じつつも私は言葉を吐き出す。
父上は驚嘆を漏らし、母上は悲鳴を小さく漏らす。
「楓・・何があったの?」
「人間の命を・・・弄んでしまいました・・」
神の前に於いて嘘は禁忌の一つだ。
まして最高神の前だ。場合によってはその場で存在を消されかねない。
そして、他者の命を弄ぶことは禁忌でも最も罪の重いものである。
その弄んでしまった命が・・花梨なのだ。
「はぁ・・楓・・様っ・・?」
「っ!? ば、馬鹿者っ!」
そして、噂は影とやら間の悪いことにその本人が竜神を血統とする神の領域に踏み込んできてしまった。
「っ!?ぁぁぁあああっ!?」
花梨が地面に押しつぶされる。
私ですら立っているのがやっとなこの神窟。
柊お祖父様の自然重圧が花梨を押しつぶしている。
このままでは花梨は死ぬ。ただでさえ風邪で衰弱している体だ。
「お祖父様!止めてくださいませ!!重圧を抑えてくださいませ!!」
堕ちた血統の恥でもある私が口答えするのはお祖父様にとっては虫酸が走るだろうと思うが、私にとっては一大事。
「楓っ!止せ。」
父上が首を横に振って制止を求める。
「お前は今、お祖父様のご厚意で生かされているのだ。命が惜しいのなら余計なことは避けろ。」
「フン・・つまらぬ人間だ・・」
呆れたような唸りを上げ、お祖父様が重圧を抑圧する。
それに伴い、花梨が解放され痙攣を始める。
「病に犯された人間を連れてくるとは・・椿、看てやれ。」
お祖父様の命令に従い、母上が私の手から花梨を受け取る。
「可愛い仔ね・・・昔の貴方を思い出す・・」
少し母上の表情は嬉しそうだった。
両前脚で花梨を抱え、霊力、通力で看病を始める。
「その人間の為にお前は堕ちたというのか?」
私は無言で頷く。
それは紛れもない事実だ。
大人たちの事情に巻き込まれ私に喰われて人生に幕を下ろした人間。
そして唯一、私の心に踏み込んだ人間。
苦心する事になると分かっていながら、私の命の半分を花梨に分け与えた。堕神というレッテルと共に。
「・・そうか。ならばその人間は生贄、我らへの償いの供物として受け取ろう。」
「!?そ、それは!」
「楓・・私はお前の屍をここで見たくはない・・その人間の命・・お前とは対等ではない。」


アンケートです
捕食者は誰がいいですか?


椿


のうち一人?です
別意見があればどうぞいってください
<2011/06/05 22:47 セイル>
消しゴム
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