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【保】巡る冬…雪の降る日……この思い出はいつまでも……
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――『風雪の森』――
その森のある地域では、
冬の訪れ……雪が降る季節にある物を見ることが出来た。
この時期のみ訪れる強い風が、森を大地を空を吹き抜け風雪を巻き起こす。
それ自体は特に珍しいことではない現象だが……
この森周辺では……不思議な現象が起こる。
横殴りに降る雪は、この森に宿る不思議な力により空に吹き上がり、
森の上空を流れ、緩やかに粒子の細かい細氷となりて、森周辺に降り注ぐ。
そう……この森では決して雪は積もらない。
そして、周囲に降る雪は、朝日を浴びて細氷(ダイヤモンドダスト)となり、
この森を見るモノを感動させた。
それらの始まりが風雪によることから、
この森は『風雪の森』そう呼ばれているのである。
一歩足を踏み入れば、中はさほど普通の森と変わりはない。
少し木々の生え並ぶ密度が多いが、森全体の規模は決して大きくもなく、
沢山の命を育み守るそんな森。
目をさらに森の奥へと向け、中に分け入ると……
森のとある場所で、なにやら怪しく草木が動いている。
ガサガサ バサバサ
背の高い草や藪を動かしながら時折……
……チラリ、チラリ……と誰かの姿が見え隠れする。
バサッ
茂みが途切れ、小さな生き物が顔を覗かせた。
小さく愛嬌のある可愛い顔。
どうやらこの生き物は『ピカチュウ』のようだった。
ほっぺにトレードマークの赤い模様が見受けられ、
首から提げられた革製の小さなポシェットが腰の辺りで揺れている。
「あれ……? また、変なとこに出ちゃった」
ピカチュウは、ゆっくりと茂みから這い出し全身を引き抜くと、
続けて現れたジグザグに折れ曲がった尻尾が、揺れるように動いていた。
「え〜と……こっちかな?」
戸惑うような声を出し、ピカチュウは森を歩いていく。
その足取りは軽快で森での歩き方に慣れているようだ。
もっとも、ピカチュウという生き物は、
森に住む生き物なので、慣れていなければ可笑しいのだが。
この風雪の森にいるピカチュウは彼一匹だけであった。
そもそも、彼もこの森の住人ではない。
とある目的のために、彼……ピカチュウはやって来たのである。
若干、薄暗い森を歩き続け、ピカチュウは立ち止まった。
目の前には、この辺りで一番大きな大木が、道を阻むかのように立ちふさがっている。
左右にはとても深い草木や藪が、木々の間を埋め尽くすように生えており、
その先がどうなっているのか分からない。
「あれ? ここも行き止まりかぁ〜」
大木を見上げ、ピカチュウは疲れたような声を出した。
続けて落胆したようにため息を『ハァ〜』と吐き出す。
一言で言うと彼は……『迷子』だった。
迷子になったモノにならよく分かる特有の疲れが、彼の体にどっとのし掛かる。
一時の休憩の為に、ピカチュウは大木を背を預けると腰を下ろした。
よほど疲れていたのだろう。
大木にもたれる身体は猫背のように折れ曲がり、頭が自然と俯いていく。
さらに目を瞑って休む姿は……彼には悪いがとても可愛らしい。
「ふう〜、疲れたよ……」
ため息と共にポシェットを開け、中から取りだしたのは木の実だった。
見るからに美味しそうな木の実にピカチュウがかぶりつく。
木の実をかみ砕く音が森に響きだし、あっと言う間に幾つかの木の実を平らげてしまった。
食べ終わった彼の身体に不思議と少しだけ元気が戻る。
――オレンのみ――
かなり歯ごたえのある果肉をした木の実で、彼はこの木の実が大好物だった。
それに微量だが、今のように即効性の体力回復の効果があり、
今や欠
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