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【保】イーブイの章1 小さな生け贄
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その拍子に胃袋にも衝撃が加わり、イーブイの意識が少しは回復した。
狭い胃袋の中で何とか仰向けに向きを変えて、前足で顔に着いた体液をぬぐい取った。
「ボク、生きてる。」
あれだけの目にあって、まだ自分が生きているのが不思議なぐらいだった。
それでも……自分の両足を目の前まで持ってきてジっと見る。
自分がまだ生きていることを確かめるかのように……
しかし、異変はしっかりとイーブイに迫っていた。
「…うっ ……なに、壁が動いてる」
イーブイが気が付いたときには、
グニュグニュと胃壁が不規則に波打ち押しつぶそうと迫ってきていた。
クチャァッヌチャァッベチャァッ!
「あぐ……ぐぅ……ぎゃぁ……っ」
柔らかな胃壁が凶器となってイーブイの全身に完全に密着し
強烈な力でイーブイを包み込んだ。
それに伴い、とうとう大量の体液……胃液が分泌され出したのだった。
イーブイの消化が始まったころ
グリフィン目には少し飛んだ先に藁などが敷き詰められた場所が見え始めていた
寝床のある場所にたどり着いたのだ。
ドスッ!! ズゥゥゥンッ!
大きな地響きを立ててグリフィンは崖端の手前で着地をする
その衝撃は、もちろん胃袋の中にも伝わり、盛大に揺れ動き……
その度に、
グチャッ! ヌチャッ! グチャァァァッ!
胃袋の中は激しくかき回されて、イーブイの毛並は消化液にまみれていく。
その度に全身が焼けるような痛みが走り……
「うぎゃぁぁぁぁ……」
「ん?まだ、腹の中で生きていたのか。」
意外そうな口調でグリフィンは自分の腹を見た。
自分の腹の中からかすかに響いてくる……
掠れ気味のイーブイの悲鳴を聞きながら寝床へ歩いていく。
「まぁいい明日になれば我の力になる。」
さらりと残酷な言葉をこぼしながら寝床の藁の上に寝そべった。
鋭かった目が、だんだんトローンと落ちて出して、眠そうに欠伸をすると
少し体を丸めてグリフィンは眠る体勢に入った。
「今日はこの者…だけに……散々……な……めにぁ………」
その言葉を言い終える前にグリフィンは深い眠りに落ちていった。
それと一緒に胃袋の中も少しの平穏が戻ってきた。
眠りのせいだろうか?
イーブイを強く包み込んでいた胃壁が圧縮がゆるまっていく。
グラッ!
「うぁっ!」
いきなり胃袋の中が広がったせいで、
イーブイは胃袋の中で器用に滑り胃壁に頭を打ち付けた。
「僕……やっぱり……たべ…られちゃった…の……」
(うぐっ……このままじゃ……本当に……溶かされちゃう。)
楽になったとはいえ、胃壁に挟まれているには変わらず。
イーブイを消化しようとする胃液が無くなったわけではなかった。
肌を焼くような痛みが断続的に続いていたが、
だんだんとそれが感じなくなってきて、胃壁に顔をつけボーとしていると……
あの女の子の事が頭にふっと浮かんできた。
(結局、僕……助からないのかな……
あの……女の子の名前も聞いてなかったのに……)
朦朧とする意識の中で、イーブイは自分を助けてくれた女の子の事を思い出していた。
しかし、記憶の中で笑っていたはずの女の子の顔……それが、
モザイクがかかったかのようにハッキリと思い出すことも出来なくなっていた。
「……あ、れ…顔を思い出せ…ないや……
それに……なんだか…眠く………なっ……」
肉体的、精神的……すべてにおいて限界を超えていたイーブイ……
今にも目を閉じると共に命の輝きまでも閉じようとしていた。
「もう一度……会い……たかっ…た……よ。」
そし
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