[1]
TOP [2]
感想
[3]
RSS
【保】ゼニガメの災難
01
「うう、だ、誰もいないよね……?」
不気味な静けさに包まれた夜の森の中、
一匹のポケモン……ゼニガメがしきりに周囲を気にしながら歩いていた。
何故ならこの森は夜になると、不思議な事が起こると有名だったからである。
ゼニガメも出来ることならこの森に入りたくはなかったのだが、
今回はどうしようもない理由があった。
理由自体はたわいもない友達との約束で……
学校に綺麗な花壇を作ろうとあちこちから、生徒みんなで花を集めることになったのだが、
其処でこのゼニガメは見栄をはり、この森にしか生えない花を持ってくると皆の前で約束してしまったのである。
「こんな事なら、あんな約束するんじゃなかった……」
肩を落とし、明らかに恐怖に引きつった表情を浮かべていた。
こうなったのも自業自得なのだが、此処で引き返すには彼のプライドは高かった。
何とか此処まで来たんだと、意地で森の奥へと足を進め……
「よお おチビちゃん。
そんなに急いで何処に行こうってんだ?」
「ウギャアァァッ!!」
突然呼びかけられた声に、凄まじいゼニガメの悲鳴が森に木霊した。
慌てて振り返り周囲を見渡すが、真っ暗な森ではよく見えない。
だが、この場にゼニガメ以外にも確かに誰かがいた。
「だ、誰だ、出てこい!?」
ゼニガメもそれを感じとっており、ガタガタ震える足を手で押さえ込みながら、
相手を牽制するように声を張り上げる。
そして、その声に答えるように闇の中に二つの赤い瞳が浮かんだ。
「グヘヘヘ……中々良い声してるじゃないか」
虚勢を張るゼニガメをあざ笑い、その姿を闇の中から顕わにする。
その姿をみとめたゼニガメの口から恐怖の声が漏れた。
「ゲ……ゲンガー……」
「よう、言われたとおり姿を見せたぜ、これからどうするつもりだ?」
大きく裂けた口をニヤリと歪ませ、ゲンガーはゼニガメを見下ろす。
「な、何もしないよ! お前に構っている暇はないんだ!」
対するゼニガメは必死に声を張り上げる……のだが、
無意識だろうか足は一歩後ずさり、額にはタップリと冷や汗を浮かべていた。
明らかに自分に怯えているゼニガメの様子に、ゲンガーの口が一際大きく歪む。
「つれないな〜 ここまで来たんだ俺様と遊んでいけよ」
「だ、誰がお前なんか……あぐっ!」
反射的に声を張り上げたゼニガメの顔に、ゲンガーの大きく肉厚な舌が襲いかかる。
ベチャリと顔に張り付いた舌の感触にゼニガメが思わず呻いた。
「う…ぁ…やめ……あぅ……」
「グヘヘ 中々良い味してるなおチビちゃん」
舐める度にあがる弱々しい悲鳴を聞きながら、
ゲンガーは気分良く生々しい音を立てて、ゼニガメをなめ回していく。
ペロリ……ピチャ……ペチャペチャ……
「あぁぅ……いやっ……もう止めて……」
ゼニガメも必死に抵抗しているのだが、
押し付けられる自分の身の丈より、大きな舌に良いように弄ばれてしまう。
逃げようと後ろに身を引けば、
ゲンガーは一歩前に歩いて押しつぶすように舌を押し付ける。
身体を捩れば、舌が身体に巻き付き前を向かされてしまう。
すでにゼニガメの身体はゲンガーの唾液が余すとこなく絡みつき、
粘液質なそれが身体を伝い滴り落ちて、ゼニガメを中心に水たまりを作っている。
もはや、ゼニガメはゲンガーの良いオモチャであった。
其処へ新たな来訪者が姿を現す。
「おっ! ゲンガーなんか楽しそうなことやってるな〜」
「んぅ? おお、アーボか」
かけられた声にゲンガーがようやく舌をゼニガメから離した。
「あくぅ……」
[5]
→
|<< < 1 / 1 > >>|
▼作者専用
[1]
TOP [2]
感想
[3]
RSS