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【保】ゼニガメの災難
01
力無くその場に座り込むゼニガメ。
早くこの場から逃げないといけない……そう思うのだが、
身体から伸びるゲンガーの粘液質の唾液が糸を引き、満足に身体も動かせない。
「で? 今回は誰を虐めてるんだ?」
「ああ 今さっき小生意気そうなガキを見つけたもんだから、つい遊んじまったぜ」
ニヤニヤと笑みを浮かべ答えるゲンガーの視線がゼニガメに戻る。
つられてアーボの目もゼニガメに移り……
「うぐ……」
四つの目で見つめられゼニガメが怯む。
その姿は、イジメッ子の二人には、いかにも虐めてくださいと言わんばかりの姿だった。
ゲンガーとアーボの口元が怪しく歪む。
「なぁ、アーボ……お前腹減ってないか?」
「ん? ああ……そう言えばお腹が減ったような気がしてきたな〜」
「ヒグッ……あっ…ああ」
余りにも態とらしい二人の会話を聞き、ゼニガメの表情が引きつる。
「ああっ……いやぁぁぁ!!!」
もう、約束もプライドも関係なかった。
逃げろ、この場から速く逃げろと本能が訴えかけ、ゼニガメは逃げ出す。
……逃げだそうとした。
「あっ……あれ?」
走り出した足がピクリとも動かなくなり、
戸惑うようにゼニガメは自分の両足を見つめる。
「無理だぜ、俺からは逃げられね〜よ」
「おお〜 ゲンガーのそれ久々に見るな〜」
「ひ、ひぃっ! く、来るな!」
後ろを振り返り、ゆっくりと近づいてくる二人を見つめ、
ゼニガメは叫びながら必死に足に力を入れるが……動かない。
焦りがさらなる焦りをうみ……ついにゼニガメは気が付くことがなかった。
自分を見つめるゲンガーの目……真っ赤に光る目から発せられる力、
『黒い眼差し』が自分を縛っているのだと。
追いつく二人、まずはゲンガーがゼニガメを背後から抱き上げた。
途端にゼニガメの身体に自由が戻る。
「うわぁぁ!! は、放せ〜!!」
「グヘヘ、何だ、まだ生きが良いじゃないか」
「……涎が零れて止まらねぇ、本当に美味しそうな奴だな」
腕の中で必死に藻掻き逃げ出そうとするゼニガメを押さえつけるゲンガー。
その二人の前で、アーボが涎を零しながら大きく口を開いていく。
「うわぁ……あ……いや……」
いつの間にかゼニガメの目には涙が浮かび、掠れる視界の中……
何故か、アーボの口の中が鮮明に見えていた。
真っ赤な肉の穴……真っ白な牙が止め処なく溢れる唾液で鈍く光り、
長く伸びてきた先の割れた舌が、ゼニガメの甲羅を舐める。
そのまま、舌は顔に絡みつき……肉の壁にゼニガメの顔は包まれた。
「ングッ!!」
「おうっと……思ったより力があるな……アーボ早く喰っちまえ」
「ムグムグ……そう…急かすなよ……」
口の中でも必死に抵抗するゼニガメに苦戦しつつも、
アーボは何度も顎を動かし、全身をゆっくりと引きずり込んでいく。
みるみる間にアーボの喉が大きく膨らみ、形の変わっていく胴体を見ていて、
ゲンガーが思わず声を漏らした。。
「しかし、いつ見てもすげぇ〜な、お前の身体は」
「ング……お、おい、あんまり触るなよ……ンッ……ゴクリ!」
アーボの喉が一際大きく蠢き、ついにゼニガメを呑み込んでしまった。
「……グエップ! ふぅ……すげぇ美味しかった」
「グヘヘ、そりゃ良かったな」
笑う二人の視線の先では、アーボの膨れあがったお腹が蠢いていた。
中では必死にゼニガメが抵抗しているのだろう。
だが、そんな抵抗が気持ちいいのか、アーボが悶えるように身をくねらせている。
「おおぅ……ホント生きの良い奴だな、胃の中で踊ってるぜ」
「ゲヘヘ、ま
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