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凍りついた時間を溶かす者
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− 目覚めると…… −
「う、こ……ここは?」
ズキズキする頭を抱えようとして、腕が動かないことに気がついた。僕の体は奴に巻き付かれて埋もれていたのだ
「みんな。みんなは?……」
「どうやらパニクっているみたいだな。気を失う前のことを忘れちまったのか?」
次の瞬間、ギラティナは僕に巻き付けていた尻尾に力を込めた
“ギリッ”という骨が軋む音と、流れていた血液を無理矢理止められる気持ち悪さが、全身を襲う
「ヒャ! カッ……」
肺を圧迫され、空気を吸うことはおろか、吐くこともできない
逃げ場を無くした肺の中にある空気が、激しく僕の中で暴れまわる
「や……め……」
意識が遠のき始め、もう死ぬと思った
あと少し力を抜けば、僕は豆腐のように潰されるかもしれない
しかし、そんなことはもうどうでもよかった
このまま必死に生にしがみついていても苦しいだけなのだから
――もういいよね、疲れたよ…本当に……――
またもや暗くなりかけた視界の端で、あの化け物が嘲笑うかのようにスッと眼を細めたのが分かった
<2011/10/03 00:45 ルカ>
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