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エンペラーフェスティバル
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− 果てた結界 −
黄色を帯びた体液が、肉壁との間にブリッジを掛けている胃袋。そんな乾きとはかけ離れた空間の中で、ロンギヌスは背中を胃壁の柔らかそうな部分にもたれ掛けた。ピンクとも赤とも言えない不気味な色の壁が、むにっと彼の体重を支える。
「あと八時間足らずで装甲は突破される…か…。奴ら何でここをそんなに欲しがるんだ…?」
バイオリック社が襲来した時には、「レムリアの確保」という立派(?)な名目があった。だが今回攻め込んで来たロケット団(以下略)には、それと言った理由は見受けられない。勿論、ロンギヌスが未だに知らないだけかもしれないが…
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カッ…!!
ドギャググワァァァァン!!!!!!!!!
ギラ「・・!」
バビ「来たか…計算より早いが…」
地割れのような轟音が、リーグをグラグラと揺るがした。棚に置いてあった消臭○が落ちて粉々になる。バビロンとギラティナがすぐさま、窓から外の様子を伺った。
バビ「酷いな…ここまでの技術を持っていたか…」
ギラ「・・・・」
爆撃機の攻撃にも耐えられる防壁が、無残にも吹き飛ばされていた。入口に殺到していた団員達も、雪崩のようにロビーへと流れ込んでいく。バビロンの6.0の視力は、達成感に酔いしれているサカキらの顔を捉えた。
サカキ「まったく甘い防御だ…僅か三時間で突破できるじゃないか。」
アカギ「だが油断は禁物…恐らくシンオウチャンピオンも潜んでいるぞ。」
マツブサ「我がマグマ団の同士が人工竜の餌食になった…借りは返してもらうぞ。」
アオギリ「フフ…どうせ占拠は時間の問題だ。」
自分の部下達がリーグに突入していくのを眺めながら、四人は煩わしそうに言った。ギラティナとバビロンは、蚊の鳴くようなその声を聞き逃さない。
バビ「…占拠されるのも時間の問題だな。」
ラティ「バビロンさん!! 僕、応戦に行ってきます…マスターに伝えて置いてください!!」
バビ「………ああ。」
ラティオスは閃光のような速さで部屋を飛び出すと、一直線にロビーへ向かった。危険を顧みないその姿に刺激を受けたのか、カイオーガはロンギヌスを吐き戻した。
ギュッ…ぷ…どちゃっ…!
ロンギ「わあっ!!! カイオーガお前…急に吐き出すなよ…」
カイオ「でも余裕かましてる暇ないんだよ? 奴らもう…ここに侵入してるから。」
ロンギヌスの表情が凍り付くのを尻目に、カイオーガはギラティナの方へと歩いていった。遺言でも言われるのではとギラティナは身構えるが、カイオーガは頬を掻きながらこう言った。
カイオ「あの…さ。ま、また一緒に…」
ギラ「一緒に戦え…だろう? 喜んで。」
カイオ「……うん!」
死を賭した戦争なのだが、カイオーガの誘い方はまるでダンスパーティの相手探しだった。ギラティナは煌めく金冠の下から、滅多にない笑顔を見せる。すっかり蚊帳の外になっているロンギヌスは、その様子を指を咥えて見ることしか出来なかった。
<2011/07/09 22:14 ロンギヌス>
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