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エンペラーフェスティバル
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− 油断と起動 −
サカキが消え去った後の廊下は、シーンと静まり返っていた。彼がどこに逃げたのか見当も付かないので、カイオーガ達は額を突き合わせて作戦を練り直す。
「…頼れる同士って…あの三人のことかな?」
「マツブサとアオギリ、アカギですか?」
「となれば…どこかの部屋に隠れてる可能性が高いわ」
リーグの全容に詳しい者(ギラティナ以外)が、一斉にため息をついた。コガネシティ並の敷地があるこのリーグで、三人のボスを見つけるなど、砂場に落としたコンタクトレンズを探すようなものだ。しらみつぶしに捜索すれば、恐らく丸一日かかる。
「仕方ない…本館は私が担当しよう。カイオーガは南館…ラティオスとレムリアは組んで、西館を捜してくれ。」
「「「了解っ!!」」」
結局彼らが重視したのは、安全より効率だった。
ギラティナのテキパキした指示が飛び、全員が素早く自分の担当する棟へと向かう。
もちろん誰も、「ロンギヌス」という主人の存在は思考の隅にも置いていない。
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ロンギ「な、何かキタァァァァああああっ!!!!!!!!」
バビ「…やかましい。文句言う暇あったら手伝え。」
『警告』の文字が、リビングを埋め尽くすように展開されていた。バビロンは怒涛のような勢いでキーボードを叩きながら、敵軍のネットワークへの侵入を防ごうとしていた。滅多に鳴らない警報が、鼓膜を裂くようなブザー音を響かせる。
『再度、擬似エントリーを展開します。予備回路の損壊を確認。』
「識別信号はTEAM-ROCKET…間違いない、ロケット団のハッカー野郎だな。」
「な、何とかなんないのか…!?」
ロンギヌスの頬を冷や汗が流れる。リーグの中枢であるクォークの乗っ取られでもしたら、どんな抵抗でも風前の灯火…それは死を意味していた。
「安心して昼寝でもしてな…システム防壁なんて無数に作れる」
「で、でも…」
「…マスター。お前が混乱すれば全員が混乱する。チャンピオンらしく、どっしり構えてな」
突然やってきた言葉がに、ロンギヌスは声が詰まった。確かに、身の回りの状況で一喜一憂していても、運命は変わってくれない。
ふと隣を見ると、シロナが涼しい顔して椅子に腰掛けていた。その時、
彼女に対する尊敬の気持ちが、再び噴水のように沸き起こるのを感じた。
「それに…やれる事はたくさんある。
自分の仲間ぐらい、あんた自身で守ってみろよ。」
「・・・!!」
メモリケースの取っ手を荒々しく掴み、ロンギヌスは部屋を飛び出していった。
「…フフ…やっと出て行ったか…」
『第五防衛網を突破されました。占拠まで残り、38%』
生気のない機械の声が、昼寝などする暇もない事を告げた。その時シロナが、そっと顔を上げる。
「あなた…どうして嘘なんかついたの? 本当は危険だって…言えばいいのに…」
「…余計な不安はできるだけ与えない。それが仲間に対する礼儀…だろう?」
バビロンはシロナの方を見向きもせず、淡々と諭すような言い方だった。そして視線を侵入率を示すメーターへと戻し、自嘲の薄ら笑いをこぼす。
『パスワードが露呈、侵入率91%。最終防壁に侵入されました』
「…私ともあろう者が…平和暮らしで少しボケたようだな…」
「久しぶりに…本気で行かせてもらうぞ…!!」
手の甲をパキパキと鳴らし、画面を邪気を放ちながら睨むバビロン。今、彼の心を支配しているのは、感情に左右される生半可な精神ではなく、人工竜として刻み込まれたプログラムだっ
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