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ぼくのなつやすみ
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− 乙女心、マグニチュード4 −
「ダメです課長! 電力の予備回線、繋がりません!」
「ぬぅ……なら窓を全部開けろ。照明を確保すればいい」
署内に竜が二匹も忍び込んでいるとはいざ知らず、ただの停電
だと思い込む警官たち。そんな彼らが過ごす部屋を横目に見な
がら、バビロンとレムリアは廊下を疾走していた。
「…予備回線も切らせてもらったよ。プチッ、とな」
「相変わらず…悪賢いというか卑怯というか…」
「フフフ….そこは用意周到と言ってもらおうか」
二匹はドンドンと中から音のするエレベーターを無視し、ついに
最後の階段を上ろうとした。しかし・・・
「な、何よ…これ…」
「….セキュリティロックだな。どうやらここから先は、一筋縄
では無さそうだ」
分厚い鋼鉄でできた扉に、なんと30ケタの暗証番号を入力する
機械がポツンと設置されている。レムリアが絶望の声を上げるの
に対し、バビロンは顔色一つ変えずに扉に近づいた。
「あら…あなた、パスワード知ってるの?」
「…いいや? 私にそんなトリビアはない。だが…」
「…知らないなら、探せばいいだろう?」
「…ま、まさか….」
ニヤンと自信に溢れた表情で、指先をタッチパネルに押し付ける。
『暗証番号を30ケタで入力してください』と機械アナウンスが
喋ると、バビロンは静かに目を閉じた。
「….侵入防御コードを解除、擬似エントリーの抹消完了。
3…12…20…27桁までの解析終了。結果数値を再計
算、及び誤差修正。よし….解けたぞパスワード」
「えっ…まだ20秒も経ってないのに…」
「そうか?……385013046572018461031756174001だ、入力完了」
鈍重なドアの鍵が、ガチャリと音を立てて外れた。未だに驚き
を隠せないレムリアを背後に、バビロンは筋肉量の多い腕に力
を込める。大人が三人掛かりで開けるはずの扉が、ギギッと金
属がこすれ合う不快音を響かせて開いた。
「…なにを固まってる。早く行くぞ」
「…あ、そ…そうね…..」
毎度毎度のことながら驚愕させられる。レムリアは鉄の門をくぐ
り抜けて、バビロンが敵としてリーグに攻めて来たときを思い出
した。この計算能力なら、リーグの四文字パスワードがオモチャ
に見えたというのも頷ける。
「(今日は…た、頼っていいのかな…)」
普段よりも大きく見えた彼の背中に、レムリアは下唇を噛み
ながらトコトコとついて行った。一瞬だけ、カイオーガと
ギラティナの姿が彼女の頭をよぎったのは、何かの間違いに
違いない。
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一方・・・・・
「自信がいつまで持つかだって…?」
財竜の目がスっと細くなり、企み笑顔でロンギヌスを見透かす。
次の瞬間….彼は左腕から、漆黒の夜を連想させる色の宝石、巨
大なトルマリンを錬成した。ロンギヌスの身長ほどもあるキュ
ーブ状のそれを、ドサッと自分の目の前に置く。
「な、何だよ….それは…」
「へへへ…君が、大好きなものさ♪」
黄金の輝きを持った右腕を振り上げ、なんとトルマリンをパンチ
で粉砕する財竜。バラバラになった宝石の残骸が地面に降りそそ
いだが、その中に一本、トルマリンと同じぐらい黒いメモリが宙
に浮いていた。まるで砕け散った宝石の中に、今まで身を潜めて
いたかのように….
「そ、それって…まさか…」
「虹っていうのは…とどのつまり光だ。だから光の射さない夜に…虹は出来ない!!」
キチ
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