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ぼくのなつやすみ
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「あなたの死相…見せて頂きましょうか….」
「アッ….ひぅ…あはぅ…!!」
てらてらと鈍く光るピンクの舌が、署長の細い首筋を優しく舐め
あげる。同時に彼の吐息がまるで這うように掛かり、署長は理
解不能な言葉で喘いだ。
「…待って」
「レムリア…さん?」
何処からともなく現れたレムリアが、署長の喉に噛み付こうと
するラティオスの肩を叩いた。彼女の指示では抗えるはずもな
く、ラティオスは尖った牙を口内に引っ込めた。
「兄を賞金首にされた、あなたの気持ちも分かる。だから….こ
の子は私に裁かせてくれない? 大丈夫…きっと反省させるから」
「…まあ….貴方がそうおっしゃるなら…」
「…ありがとう♪」
微笑みの「ありがとう」を受けて、頬をピンクに染めるラティオス。
それを両手でさり気なく隠しながら、彼はその部屋の主導権、そして
署長の運命をレムリアに委ねるのだった。
ギィー…バタン。
重い木の扉の蝶番が閉ざされ、いよいよ念願の二人きりになる署長。
レムリアは溺れていた人間を助け上げたような状態で、署長の首を抱
いていた。
「……ねぇ…」
「はい!!?」
「あ〜あ…何だか飽きちゃった」
 
突然カイオーガのような幼い声を出し、ゴロンと仰向けに寝転が
るレムリア。血まみれのシャンデリアに顔を向けたまま、視線だ
けを署長の顔に向けた。
「いいわよ、好きにして」
「ほ…ほわッ!!?」
「だって貴方が思っている程…私はお高い女じゃないもの。
だからいいのよ? 私をオモチャにして遊んでも」
イタズラの成功を喜ぶ少女のように、レムリアはベェッと綺麗な舌
を見せる。今の彼女は、いつもの大人な雰囲気は煙のように消え失せ
ていた。
「首輪? 縄? それとも鎖? 貴方の犬にも猫にもなってあげる。
もちろん…それを望むならの話だけどね」
「い、いや…..あの…ッ…!!」
「それとも何かしら…♪」
レムリアは仰向けの姿勢から瞬時に起き上がり、逆に署長を押し倒した。
そのまま勢いを緩めず、無防備な体勢の署長に馬乗りになって手をつく。
もう少し近づけばキスが出来るほど、二人の顔は急接近していた。
「私が….攻め?」
「あ….そ、そんな….大それた….」
「あら、そう? それならいいわ」
彼女の顔が離れていき、署長は数秒前の発言を後悔した。もうあと一歩で、願いが叶うはずだったのに。その欲望という名のロープを、あろうことか自分で断ち切ってしまったのだ。
レムリアは署長を押さえていた手を離したかと思えば、ドサッと壁にもたれかかり、そのままズルズルと床に座り込んでしまった。丁度、体操座りのような姿勢で、残念そうなため息を吐く。
「ふふ….ちょっと期待しちゃった。遊んでくれるのかな〜…って」
「あ….で、でもやっぱり…..」
「何だかさっきの疲れが出たみたいね。休ませてもらってもいい?」
「えッ…? は、はい!!!」
「ありがとう」
レムリアは首の付け根を支点に、コクンと頭を前に傾けた。足をチョコンと広げ、途端に静かな寝息を立てはじめる。署長は愛らしいぬいぐるみのような風貌を前に、手がワナワナと震えるだけだった。
ーーーー襲いかかりたい。
いくら竜とはいえ、相手は雌。バビロンのような化け物じみた戦闘力などは持っていないはず。そんな並大抵の力量しかない竜が、それも自分が追い求めていた雌竜が、無防備なカラダをさらけ出して寝ている。スゥスゥと滑らかな彼女の寝息が聞こ
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