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ぼくのなつやすみ
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− 目指すは警視庁 −
カイオーガはギラティナの背に、ロンギヌスはバビロンの翼
に跨がり、大空へと舞い上がっていた。デート気分で手を繋
いでいるラティオスとレムリアを横目に見ながら、初めてバ
ビロンより高い位置から話しかける。
「な、なあバビr….」
「おいマスター、金は持ってきたのか?」
「い、いやぁーそれが….軍資金はほとんどないっす」
残念ながら、ロンギヌスの財産はほとんど銀行に預けられ
ていた。小銭数枚と、なぜかレアな二千円札だけの財布が
ポケットに突っ込まれている。あと手元にあるのは….絶対
に必要なメモリケース(コンパクトタイプ)ぐらいだ。
「フフ…そんな事だろうと思ったよ」
「えっ…な、何か準備してきてくれたのか!!?」
期待がイルカのように跳ね上がったものの、あっさり、
「いいや」の一言で踏み潰された。文句を言おうにも、
バビロンにはお小遣いすら渡してないのだから仕方がない。
「まあ何とかなるだろう….偽札なら何枚でも刷ってやるぞ?(笑)」
「これ以上、罪を重ねてたまるかっ!!!(そもそも変態は罪じゃない!)」
あれこれ言っている間に、もうリーグからは遠く離れていた。
目を細めれば、高層ビルがそびえ立つ都心部が見えてくる。
人間がうじゃうじゃと蠢いている大通りを目の当たりにし、
バビロンは表情を曇らせた。
「ごっ、ごめんバビロン!! 田舎に逃げた方がよかったよな……」
「……いや…木を隠すなら森の中、人を隠すなら人の中だ。
それに田舎に逃げてどうする? ひっそりと隠居でもする気か?」
「あ、そうだったな….(人と言っても俺しかいないけどね)」
何より、田舎に隠れたら警視庁には辿り着けない。ロンギ
ヌスは上空にも関わらず息を潜めながら、ゆっくりと人の
少ない裏通りを目指して降下していった。
「よしっ、入れ!」
建物の間の狭いスペースに、全員が身をよじらせて入り込む。
ロンギヌスやラティオス、縮小化能力のあるカイオーガは良い
として、バビロンとレムリアは窮屈そうに顔をしかめていた。
「マスター、これからどうする気です?」
「とにかくそのまんまの格好じゃマズい。まず、カイオーガ
は俺のポケットに入る。ギラティナは姿が消せるからいいとし
て、レムリアはメモリで透明化しろ。勿論、バビロンもな」
ラティオスだけなら、珍しい眼で見られる程度で済む。
ロンギヌスの指示が飛ぶと、全員テキパキと行動を開始
した。指人形サイズと化したカイオーガをポケットに
入れ終えると、メモリケースの蓋を開け、中から二本の
メモリを取り出す。
「お前らに注意しとくぞ。このメモリは周りから見えなくさせ
るけど、姿そのものは消せない。だから人混みでぶつかったり
しないよう気をつけろよ」
ロンギヌスは自分の数倍は大きいドラゴンの手に、ポンと
黄色と青のメモリを手渡した。二匹ともとくに心配事はない
ようで・・特にバビロンなど明らかに余裕をかましていた。
「分かってるわよ、マスター….」
キチッ…『LUNA(幻想)』
「恐らく….低空飛行してれば大丈夫だろうな」
キチッ…『INVISIBLE(不可視)』
メモリが彼らの首と肩に差し込まれると、下半身からスゥーッ
と色が薄れていった。まるでドラマで主役が成仏するシーンの
ように、空気に溶け込んでいく二匹。三十秒もすれば、ロンギ
ヌスには声と気配しか感じられなくなった。
「よし…..ギラティナ準備できたか!?」
「ああ….マスター、カイオーガを潰したら死すら許さ
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