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消えた理性
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「生きたい!!」
カイオーガは初めてコラッタの言葉に耳を貸す。
「頼む!殺さないで!!俺やっぱりまだ生きていたいんだあああぁぁ!」
コラッタは何故自分を消化しなかったのか。カイオーガは何故泣いているのか。
カイオーガを慰めたい。それらの思いが、コラッタにそう叫ばせた。
カイオーガの顔はほころんだ。
すぐに胃壁の圧迫を解き、コラッタの体を
上へ上へと押し上げていく。
噴門を超え、自分を移動させる舌の感触を感じて、ついにコラッタは吐き出された。
「ゲホ!ゲホ!ハァー、」
コラッタは唾液を吐き出しながら、泣きじゃくっているカイオーガに問おうとした。
…えぐっ!……うぐっ!……ぐす」
「カ、カイオー…」
……ギロリ
「ひぃ!」
カイオーガは怒りに溢れた目で、コラッタを睨む。その顔はまさに鬼だった。
「ひ、ひぃやああ!」
カイオーガは、恐ろしい目線だけでコラッタの腰を抜かさせ、動けなくしてしまった。
動けないコラッタに対し、カイオーガは冷酷にも大きなヒレをコラッタに叩きつけ始めた。
「イタッ!イタイ!!、や、やめ…」
「このバカ!バカ!バカ!大バカァー!」
カイオーガはそのヒレを降ろすと、今度は大きく飛び上がり、渾身の「のしかかり」
を繰り出した。
「グバアアアアアアアアア!!!!!」
「痛いでしょ!?良い事じゃないか!なにも感じる事のできない死より100倍良いじゃないか!」
そう言いながらカイオーガは更にコラッタを押しつぶしているお腹に力をいれた。
…メキ!メキキ!
「ぎゃああ!!で、でも何もあんなに…」
「あそこまでしないと君は気付かない!
なんなら今すぐ骨も残さず殺してあげようか!?」
そう言うとカイオーガはコラッタに向かってハイドロポンプを撃とうとする。
「い、嫌だ!し、死にたくない!」
コラッタは懇願する。
「怖いんでしょ?僕が怖いんでしょ?怖いのに何で食べられたいの!?死にたく無いんでしょ!?」
「うう、わ、わからな…」
「分からないのに軽々しく死にたいとか食べてほしいとか言わないでよ!
僕は相手が君なら、どんなことしても許す!僕の舌が気持ち良いのなら舐めてあげるし、飲み込んで欲しいんだったらそうするさ!でも殺して欲しいとかそう言う事言うんだったら僕本当に怒るよ!?もし口が滑った時は覚悟してよね?殺す直前まで痛めつけてあげるから!」
コラッタは唖然としていた。自分が情けなく思えてくる。自分の命の重さを痛い程実感した。
「分かった!?」
カイオーガは恐ろしい顔で問う。
「は、はい!わかりました!」
あまりのスケールに、コラッタは痺れていた。
そしてカイオーガはコラッタから降り、
ひしゃげているコラッタに持っていたオボンとラムの木の実を雨のように振りかけた。一瞬で体の傷や疲労が取れ、乾いた唾液もカイオーガが優しく洗いながしてくれた。
「冷たくない?」
「え、あ、いや、大丈夫だ」
「そっか。」
さっきの悪魔のような様子はどこにいったのか、いつもの優しいカイオーガに戻っていた。
「はい!終わったよぉ〜。」
「あ、ありがとう。」
「どういたしまして。」
洗い終わったあと、コラッタは恐る恐るカイオーガに話しかけた。
「あ、あのさ。」
「ん〜?」
「今日は、あの、ありがとな。いい事教えてくれて。」
「いいんだよ。過ぎた事は水にながそ?」
「あ、ああそうだな……ん?はっはー分かったぞー。お前泣いちゃった事を忘れようとしてるだろ。」
「へぇ〜、どうして?」
「顔見ればすぐ……に?」
目の前には大きく開かれた口、その奥にはヌップリとした唾液に濡れた舌が、餌を
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