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神々の戯れ〜月夜兎の苦手なもの〜
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寂しい山道を一人でとぼとぼとリアカーを引いて歩く少年がいた。
まだまだ残暑が厳しいというのに何故かニット帽をかぶっているこの少年。
賢明な読者の皆様ならお察しであろう、人間に化けた月夜兎である。
「ふう、のどが渇いたな」
月夜兎はリアカーを道の脇に置き、荷台に積んでいた水の入った竹筒を手に取った。
「ぷはぁ、アンテナの設置もしてやらにゃいけないからな。さっさと帰るか」
水分補給をした月夜兎は積荷のアンテナを念のために確認する。
その時だった。
「何かがこっちに来てやがるな」
何かがこっちに来る気配を月夜兎は感じ取った。
この感じは人間ではない。
人外の気配だ。
「どこのどなたか知らんが、かかってこい!返り討ちにしてやる」
月夜兎はニット帽を脱ぎ捨て、耳をピンと立てる。
そしてどこからともなく御神剣を取り出して構えた。
ズルズルズルズルズル……
何か重たいものが引きずられるような音が聞こえてきた。
月夜兎は恐怖とデジャヴを感じ始めた。
いったい何なんだ。
何故私が恐怖を感じているんだ?
何故脂汗が止まらないんだ?
何故足がガクガクと震えているんだ?
この感じ、ずっと昔に経験した気がする。
あれは確か――
「ほう、美味そうな人間じゃないか」
そこらにある木よりも太い胴回りを持つ大蛇がにゅっと姿を現した瞬間、月夜兎は全速力で逃げ出していた。
<2011/09/06 21:47 とんこつ>
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