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神々の戯れ〜月夜兎の苦手なもの〜
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水神の手が水の球の中に入ってきた。
これはさすがに逃げられないな。
月夜兎は無抵抗で水神に捕まった。
「つ〜き〜よ〜と〜、どこで油売ってたのかなぁ?」
水神は月夜兎を目の前にぶら下げて尋問を開始する。
「……大蛇にからまれて遅くなったんだよ」
どうあがいても駄目だと悟った月夜兎は正直に答える。
「大蛇?月夜兎なら大蛇くらい数秒で倒せるでしょ。嘘はついても無駄だよ」
「いや、私は蛇が嫌いで戦わずに逃げ回っていたんだ。まあすったもんだの挙句大蛇には一応打ち勝ったけどこんな時間になっちまったんだよ。……あっ!」
月夜兎は今まで誰にも明かしたことのなかった自分の弱点を、それをよりにもよって水神に話してしまったことに気付いて思わず声を上げる。
「へぇ〜、月夜兎にも苦手なものがあるんだ。いいこと聞いちゃったなぁ」
水神は内心ほくそ笑んでいた。
まさか月夜兎が蛇が苦手だったなんてねぇ。
そうだ、いいこと思いついちゃった。
「あんまり腹が立って今日のお仕置きは月夜兎を揚げて豚カツ(トンカツ)ならぬ兎カツ(トカツ)にして食べてやろうかと思ったけど、そういう事情があるならやめてあげる」
一瞬安堵しかけた月夜兎だが、もしや別の罰が待っているのではと恐怖する。
そしてその予想は的中してしまった。
「月夜兎は私が食べてもろっくに反省しないからね。たまにはやり方を変えないと」
水神は月夜兎をぶら下げたまま岩山のほうへと向かった。
<2011/09/16 20:40 とんこつ>
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