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神々の戯れ〜月夜兎の苦手なもの〜
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「くっ、全然ほどけない」
月夜兎は自分を縛る縄から逃れようとしていた。
岩山に連れてこられた月夜兎は、到着するなり水神の手で大きな岩に縄で縛りつけられてしまった。
しかもその縄には水神が何らかの細工をしたらしく、ほどけたり千切れたりする気配は微塵もない。
そして水神はというと、岩山の中に入ったっきり出てこなかった。
「ちくしょう」
月夜兎は足をダンと踏み鳴らす。
一体何を企んでるんだ?
そう思った矢先だった。
「お待たせー」
水神が赤い壺と青い壺を持って岩山から出てきた。
はあ?と首を傾げる月夜兎。
すると水神は赤い壺の中に舌を入れた。
「何やって、モガッ!」
月夜兎が口を開いた瞬間だった。
水神は月夜兎をガッチリと掴み、水神の肉厚な舌を月夜兎の口の中にねじ込んできたのだ。
「あがが、がが!(訳・やめろ、馬鹿!)」
そう叫ぶ月夜兎を無視して水神は器用に舌をこねくり回す。
水神の舌が喉まで入ってきて、月夜兎は涙目になった。
顎が外れる!
そう直感した月夜兎はイチかバチかで水神顎の下にある逆鱗を蹴り飛ばした。
それに反応したのか、水神の舌がようやく月夜兎の口から引き抜かれた。
「ハア、ハア……!お前、何すんだ!」
息も絶え絶えに月夜兎は水神を問い詰める。
「いったいなぁ……。逆鱗はあんまり触らないでよね。何をしたって、ディープキスだよ。月夜兎ってチューとかしたことないから照れてるんでしょ」
水神の発言に月夜兎は耳を疑った。
なんで水神がディープキスなんて単語知ってるんだよ。
あれか、ずっと前に私が子供がどうやって生まれてくるのか教えたらショックを受けて水神の親父さんに行ったけど(ずっと前の作品のあとがきを参照)、その時に教えてもらったのか。
水神の親父さんはかなりのプレイボーイだったらしいから、その可能性は十分あり得る。
真相がどうなのかは分からないが、確実に言えることは一つだけある。
「この野郎ぉ、私が童貞だからって馬鹿にしおってからに……!」
月夜兎は悔しさで再び地団駄を踏む。
もしかしてこれが私への仕返しなのか。
だとしたらかなりのダメージだ。
そう思った月夜兎だったが……。
「Come on snake」
水神は流暢な英語でそう言うと、指を口に挟んでピィーッと鳴らす。
上手いなぁ、と呑気に感心する月夜兎だったがあることに気付いた。
『カモンスネーク』って、『蛇よ来い』って意味じゃねぇか。
しかも今の笛ってもしかして!
「……マジで?」
月夜兎の不安は見事に的中した。
青い壺から水神のような青い鱗を持つ大蛇が姿を現したのだ。
<2011/09/23 12:02 とんこつ>
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