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バベルの塔
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− 鉄箱の上で −
ョンだったのだが……
「……これ、本当に切れるのですか?」
「ギッ….うわッ…!!」
頭の位置を低くされたため、ジュカインの攻撃はまさに「空」を切っただけだった。無駄だった一撃が隙を呼んでしまい、彼の頭に手加減のないアームハンマーが降ってくる。
しかし柔らかい肉の大蛇が彼の身代わりとなり、アームハンマーを受けた後、にゅるにゅるとそのヒレに巻き付いた。カイオーガが、下のゴンドラから舌を盾として伸ばしたのだ。
「上で待ってるだけだなんて……..卑怯だねぇ?」
「だって私は貴方ですもの……ウッ!!」
巧みな舌使いが幸いしたようで、裏カイオーガはゴンドラの上から引きずり下ろされた。カイオーガの領地である4のゴンドラに落下すると、二匹分の重みで屋根がミシミシと唸った。
「グッフフフ….肉弾戦の方がやはり燃えますか?」
「もちろん♪ 君との僕との違い、教えてあげるよ…!!」
高濃度の毒龍がカイオーガから噴き出し、毒液でできた牙をむき出しにして裏カイオーガに突進した。しかし裏カイオーガの周囲を水流、水のカーテンが覆うと、その渦に巻き込まれて毒龍は消えてしまった。
それに対して裏カイオーガは水の力を借りず、ヒレを手刀のように振り回して襲ってきた。カイオーガは瞬時にそれを避け続けるものの、ゴンドラの端にまで追い詰められてしまう。仕方なくブーンと飛んでくるヒレをヒレで押し返し、殴り合いに持っていこうとした。ところが・・・
ガチャン…!!!!!
「….落ちなさい…!!!」
「うわっ…!」
ゴンドラを吊り下げている唯一の鉄筋を、裏カイオーガは猛烈なタックルで破壊した。つなぎ目を失ったゴンドラが地上へと落ちていく最中、裏カイオーガはジュカインがいる上のゴンドラへと飛び乗り、カイオーガは間一髪で他の鉄筋にしがみついた。
ヒュゥゥゥ・・・・
「うわぁ……た、高いね……」
下を見れば人がコメ粒程の大きさに見えてしまう……そんな高さなのだろうが、残念ながら人影すらこの遊園地にはない。
「でもそう簡単に…落ちるわけには…!!!」
空中でプラプラと揺れる自分の尾びれを見つめ、カイオーガは日頃の筋力トレーニングの成果を発揮した。ヒレに全力を湯水のように注ぎ込み、重いと分かっている自分の肉体を持ち上げた。
一段落つくと、鉄筋の上にバランスを保ちながら立った。ふと上を見上げてみれば、裏カイオーガと拳を交えているジュカインの姿が。雷でも放って援護したところだったが、ゴンドラ一個分が空いたこの距離では撃ちづらい。それに間違えてジュカインに当たることを考えると、ますます撃てなくなった。
「やっぱり一周する間じゃ….無理かもね…」
サビが多い鉄筋を木のぼり感覚で登っていきながら、カイオーガは戦闘前に自分が言ったことを悔やんだ。既にジュカイン達の乗ったゴンドラはてっぺん付近にまで高度を上げており、ここからはもう地面に近付いていくだけ・・・
「決着は急がないとダメか……じゃあやっぱり….」
鉄筋を登るスピードを速め、あっという間に3のゴンドラ、ジュカインと裏カイオーガの戦場の高さまで追いついた。ゴンドラの屋根の上でこちらに背を向けて闘っているジュカインの名前を、カイオーガは大声で叫ぶのだった。
・・・・・おまけ付きで。
「ジュカイン大好きーーーーーぃぃぃ!!!!!!」
「ひょえっ……マジ…!?」
カイオーガはタンスさえ呑み込めそうな勢いで口を開き、舌でを巻きつけてジュカインの身体を引っ張りこんだ。ぐるぐると
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