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バベルの塔
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− 繰り返す最期 −
「喰らえ…..風の生傷!!」
「…………(プッ」
「ルギア来るよ!!」
某アニメの話題はさておき、ゲーチスの剣が放ったエネルギーは凄まじいものだった。運よく逸れたものの、背後のホワイトボードが真っ二つに分断されていた。
「……107ポンド砲!!」
「斬れ味はまあまあだが…本家とは雲泥の差だな」
今度はルギアも避ける素振りを見せず、左の翼を盾がわりにして突っ込んだ。斬撃を歯を食いしばりながら受け流し、隙を伺ってハイドロポンプを撃ち込む。
トルネード状の水流に押し流され、ゲーチスは天井に叩きつけられた。
「ぎ….ぐぅ……!!」
「やぁ2分の1マッチョ君、元気かい?」
衰えのない素早さで、ギラティナはゲーチスをはたき落とす。イルミア島で暮らしていた頃から、彼らのコンビネーションは群を抜いていた。
さらに横たわるゲーチスにも情けは掛けず、にゅるにゅると先端に赤いツメの付いた触腕を巻きつける。首筋はもちろん、ムダに立派な大胸筋、さらには脇の下まで、6本のどす黒い蛇がコチョコチョ這っていった。
「あひ….や、やめろぁ…ぁぁあヒイ…あひゃひゃひゃひゃ…!!!!」
「いい顔だけど……もっと歪んでくれた方が面白いんだけどな」
くすぐるまでもない、敏感な部分を触手に撫でられただけで、盛大な笑い声が部屋に響いた。ギラティナは不純な笑みを咲かせつつ、ゆっくりと彼の耳元に口を近づけた。生温かい吐息が、ザワッと耳の肌を舐めるほどに。
「さぁ….逝ってくれる? 僕と一緒に」
「は、はァ…!?」
「冥界に帰ろうよ。付き添い役は僕が買ってあげるからさぁ………ね?」
コトンと首を傾げ、ゲーチスの濁った目を見透かす。口の端から零れる涎をジュルッと啜る。人の魂をエサにする魔物のような不気味な笑顔で、ハムッと彼の耳たぶを咥えた。
「ひうぇ…….馬鹿野郎…そんな….待て、やめろ…!!」
「やめない」
「ちょ、ちょっ助け…..私に…あふ…ぃ….助けて…くれ…」
「助けない」
呂律の回らない悲鳴を口ずさみながら、ゲーチスは早くも命乞いの態勢に入った。しめて一週間は約束されたこの世での時間を、ほんの数時間でシャットダウン・・・そんな不幸は受け入れられない。地獄でまた責め苦を受けねばならないなど・・・そんなこと認められない。
「まあ落ち着け、ギラティナ」
「あれ、そんなに興奮してた? ボク」
「興奮も何も….口からハァハァ荒い息吐いてただろう」
恥ずかしい自分の姿を想像し、ギラティナは頬をほんのり紅潮させた。シュルシュルと触手の拘束から解放(ゲーチスがまた笑い声を上げた)すると、彼の身柄をルギアに引き渡した。
「ひとつ聞くけど、どうやって殺すの?」
「フフ…殺すとは人聞きが悪いな….私もこいつも既に死んでいる身だろう? だから何をしてもいい訳だ。つまり….」
ルギアの赤い瞳が、ギョロリと目下のゲーチスへと移った。
「十年前と同じさ…….腹の中でたっぷり愛でてやる」
「ひ….そ、そんなの私が素直に…!!」
「フフ…本心は入りたいのではないか? 自己申告すれば多少は手加減してやるが….」
「ふ、ふざけるな…!!!」
ゲーチスはルギアの顔から、彼のふっくらしたお腹へと目を落とした。もし自分が第三者なら褒め称えたいほどの美しさだが、そこに入るとなれば話は180°逆転する。
十年前と何ら変わらない死に方・・・胃袋に押し込められたあの感覚は、今でも体が覚えていた。
「とにかくご免
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