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バベルの塔
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− 決意 −
お勧めBGM:『Kaiji OST Transparent』
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「それではまずシャッフルからですが….貴方がしますか?」
バビロンはラファエルには死角となるテーブルの下で、傷まみれの両手を擦り合わせた。
激戦を乗り越えてきたためか、ズキズキと生々しい痛みに襲われる。
「いや….任せる」
「それでは…....」
公正な勝負が行われるとは期待していなかった。
何しろバイオリック側に取っては、会社の存続が懸かっている。
もちろんラファエルの命も賭けられてはいるが、ウォリアは彼を失うことに関してはそれほど恐怖はないようだ。
それは会長席にドッカリと座っている、あの余裕の表情を見てもわかる。
ラファエルはトランプを切り始める。
しかしその不慣れな手つきは、どう見ても初心者そのものだった。
挙げ句の果てにバラバラと数枚取りこぼしながら、何とか全部切り終えた。
「すいませんね、初めて触るもので」
「・・・・・」
彼の素人ぶりを笑っている暇はない。
バビロンは鷹のように目を光らせながら、山札が正確に1/2に分けられ、その片方がさらに半分にされる様子を注視していた。
ラファエルは下半分を自分の手元に、残る上半分をバビロンに押しやった。
警戒心を抱きながらそれを受け取り、カードの内訳を素早く読みとる。
スペード: K Q 9 8
ダイヤ: A 8 7 6
クローバ: Q 4
ハート: K 9
カードを1/4にしたことを考えれば、そこまで悪いこともない。
数については、ジョーカーは1枚のはずだ。
それならば(52−1)÷4によって、それぞれ12枚ずつ。
そして手元にあるカードの総数は12。カード数については公平だった。
「それではこのダイスを振ってください。数の多い方から先出しです」
「……..ほらよ」
十秒とかからない間に、お互いの目が出る。
バビロンが4、ラファエルが5だった。ラファエルが先攻だ。
「追加ルールはシンプルに、8あがり無し、11バックのみです」
「…分かった。初めてくれ」
「それでは…..」
ーーークローバの6
最初のカードが場に投げられた。
まだ強さが弱いところを見ると、やはり向こうも様子見ということだろう。
バビロンは二度も溜め息をつきながら、無難な[ダイヤの7]に指を掛けた。
ーーーいや、違う・・
確かにそれが定石だが、本当にそれでいいのか?
もしかしたら相手はそうやってこちらの弱いカードを削り落とし、逆に11バックを仕掛けてくるかもしれない。
おまけにカード自体が12枚という少なさだ。
少なければ少ない程、この戦略は成功しやすいと言えるだろう。
そう考えてしまうと、序盤とはいえ迂闊なカードは出せない。
結局こちら側の最強である[スペードのK]を出し、裏の裏をかきにいく。
「……パス」
早くも場が流れた。バビロンは再び手を顎につける。
……パサッ
[ダイヤ7]
ーーーハートQ。
[ハートK]
ーーーパス。場流れ。
ダブル[ハート9][スペード9]
ーーーパス。場流れ。
ここまで順調にカードを消費でき、対してラファエルはパスがほぼ連続している。
ここまで連なっていると、本当に弱いカードしか無いのか? とまで思えてくる。
しかし、相手がAや2のような強力カードを持っていないとも限らない。
油断は禁物だ。
[クローバの4]
弱カー
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