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バベルの塔
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− 決意 −
ドを最後まで残すと困るので、頃合いを見計らってそれを出す。
ーーーダイヤA。
「チッ…....パス」
久しぶりに場が流れ、主にバビロンが積もらせたカードは墓場に捨てられた。
しかし丁度その時、ラファエルの目の色が変わった。
ーーーー2・2・2・2
「ば…馬鹿な…!!!?」
ここに来ての最強革命。
それを機にバビロンの脳内で組み立てた方程式はすべて吹き飛んだ。
思考が迷走への一途をたどる。
「こ…こんな…..確率的にはありえないはずだ…」
「ハハ…ビギナーズラックですかね?」
「……貴様…」
「パスでよろしいですか? それじゃ…..」
ラファエルは優雅な笑みを顔に咲かせたまま、ゴミを投げるようにカードを提出する。
ーーーーハート5。
奇跡レベルでしか考えられないはずの革命。
それを受けて、バビロンの高度な思考回路は迷走しかけていた。
組み立てた計算が「焦り」によって壊され、空気に乗せられるまま・・・
[クローバ4]
ーーークローバ3。
「くっ….パ、パスだ」
パスしても8が二枚もある・・・
バビロンは次に来るであろうカードを、8で切ってこの流れを止めようとしていた。
いつの間にか汗が噴き出している手で、8を出す体制を取る。
しかし・・・・
ーーースペードJ。
「く….くそ…」
革命中の11バックによって、一時的ながらも通常に戻ってしまう。
バビロンは8からQに指の路線を変更した。
[ダイヤQ]
ーーークローバK。
「パ….パス…!!」
パスで場が流れたため、革命状態にもどる。
バビロンはラファエルの手札を見て驚愕した。早くも残りカードは二枚になっている。
おまけに、有利な先手はまだラファエルが握ったままだった。
ーーーハートA。
[スペード8]
「くっ….8切りだっ…!!」
ーーこのままでは負ける。
辛うじて場は流せたものの、相手は残りたったの一枚。
危機的な状況なのに変わりはない。
バビロンは沸騰しそうな脳を冷やし、考えられる最善の策を打ち出すしかなかった。
[ダイヤ6]
「(頼む…..!!!!)」
革命状態では、この6こそが手札の中で最強のカード。
この6に屈してラファエルがパスをすれば、こちらはあと二枚。
それも8とQという理想的な組み合わせだ。8を切って必然的に勝利できる。
願うは、ラファエルの屈服。
だが・・・!!
ーーーダイヤ4。
「弱いカードでも革命に備えて出来るだけ残しておく。基本中の基本なのでは?」
「うっ…...あ…ッ…」
喪失感が津波のように押し寄せる。
バビロンは焦点の合わない目で、戦績表の自分のラインに×印が書き加えられるのを見た。
残り4試合・・・・あと2試合負ければ・・・
「この人が生還するのか、それとも私の獲物になるのか…...決定権はあなた次第ですよ?」
「・・・・・」
ラファエルの白い声も、バビロンの耳には届かない。
敗北したショックに苛まれている訳ではない。
勝負中に起こった、あの大革命について考察していたのだ。
確率論で考えれば、まさに奇跡的に稀な出来事。
この12枚ずつで行なう大富豪では、まず起こらないと考える。
しかしそれを現実に起こすために必要なもの。
それは生まれつきの相当な幸運か、もしくは・・・・
「(イカサマ………?)」
しかし何処で、どうやって。
自分の眼が光っている中で、堂々とそれをやってのけたのか?
ーーー
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