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バベルの塔
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− 反抗期 −
ーーーーーーーー
・・・・・・・
LIVE中継が消えてアナウンサーが再び顔を出すまで、誰一人として
鼻息すら荒げなかった。ただその場にいた全員が意識したのはただ一
つ、今朝から顔を見せないバビロンだった。
「…あいつ…...まさか……」
たいして成績が言い訳でもないロンギヌス。しかしその分、直感は
人一倍の鋭さを持っている。彼の脳裏を走り抜けた、とある疑念……
その疑念が確信へと変わるとき、ロンギヌスは椅子を蹴倒した事
にも気づかず、突風にようにリビングを後にした。
ー 別階 バビロン専用ラボ ー
「バビロン!!?」
ノックもせずに扉をこじ開けると、中は誰の気配もなくただ
静まり返っていた。シーーンという音さえ聞こえてきそうだ。
ロンギヌスは足の踏み場もないほど散乱している工具を乗り越
えると、昨晩彼と話したパソコンの前に辿り着いた。待機ラ
ンプすら点いていないため、電源は落とされているようだ。
「(電源ボタン電源ボタン……あっ、ここか)」
流石は人工竜が愛用しているPCだけあって、起動も非常に速い。
メニュー画面が表示されると、ロンギヌスは早速メールの送信履
歴を開いた。パスワードが設定されていなかったのは、幸いだった
と言えるだろう。
「メール送信….昨日の夜が最後か…..…….ん?」
メル友を作るような性格ではないため、送信箱には十件ほどしか履歴
が残されていなかった。しかしその最後に送信されたメールにはクリ
ップのマーク。すなわち……添付ファイルがあった。
「あいつがわざわざ添付? いったい何を……」
送信先を示すスペースには、なんと「バイオリック社」と表示されている。
その上本文の欄には、たった一つの句読点すら打ち込まれていない。
添付ファイル…..ただそれだけのメールだ。
ーーGo to,let us go down, and there confound ther language,that they may not understand one another's speech.
「えっ…!!?」
脅迫文のような文面が、ファイルを開いた瞬間、パソコンの画面一杯
に映し出された。その内容を読み終える間もなく、事態は一変した。
UTOPIA UTOPIA UTOPIA UTOPIA UTOPIA UTOPIA
UTOPIA UTOPIA UTOPIA UTOPIA UTOPIA UTOPIA
UTOPIA UTOPIA UTOPIA UTOPIA UTOPIA UTOPIA
「うわっ…!!」
血のような赤文字の羅列が、突然のアラームとともに画面を埋め尽く
した。ロンギヌスが操作しているパソコンだけではない、この部屋に
存在する全てのモニターに、「UTOPIA」の文字が大量に浮かび上が
っている。
「…ま、まさか….ウィルスが…?」
異様な光景は、それだけでは終わらない。なんとウィルスに汚染
されたパソコンのディスプレイから、赤い液体がポタポタと染み出
しているのだ。高い位置にあるパソコンから滴った液体が、彼のオ
リジナルメモリの上にピチャッと落ちた。
…ギギッ…ウィイィゥン…!!
「嘘だろ……」
メモリが使用者の手を借りる訳でもなく、勝手に起動したのだ。
独壇場でダンスを踊るように、テーブルの上をのたうち回るメモリ。
「こ、これは……」
「マスター!!」
襟を背後から思いきり引っ張られ、ロンギヌスは首が飛んでいく
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