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バベルの塔
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− 同じ思考 −
一方ロンギヌスはラファエルの腹の底で、「我が世の春」と「地獄」を同時に味わっていた。
ラファエルの清純そうな見た目とは裏腹に、胃の中は納豆レベルの粘液が幾重にも糸を引いている。
もがけばもがくほどに、胃壁はたゆんとした肉質をこれでもかと擦り付けてきた。
「ぐはッ…あっぶ….んぉ…!! ちょっt….強いにも限度ってもんが…」
そんな文句はいとも簡単に封殺され、じわじわと体力を蝕まれていく。
ブニブニと柔らかいので心地良いのは確かだったが、次第に感覚すら奪われていく。
「(バビロンお前…..また俺を喰いたいんだろ?
帰ったら今日の俺を馬鹿にして….ポテトでもせしめるつもりなんだろ?)」
我ながら何を言っているんだろうか。
同じ人工竜の中だからなのか、この中に居ると、バビロンと不可思議なネットワークで結ばれている気がした。
「(だったら勝てよ…..ホラ吹きでも…狡猾でも…嘘つきでもいい。お前なら…..)」
抵抗する気力が、水を失った植物のように萎えていく気がした。
ムチムチと圧迫してくる胃壁を押し返すのを諦める。
いざ温柔なそれに身を預けてみると、意外に苦しさは和らいでいった。
「(出るんだろ…...こっから…..)」
ーーーーーーーーーーーーー
きっかけは、年老いたウォリアが咳き込む音だった。
そのことが勝負に集中していたバビロンに、改めて彼の存在を気づかせたのだ。
そしてそんな些細なきっかけから派生してくる、ある思考・・・・
勝利への糸口….第二戦を制する確率を、飛躍的に高められる何か。
「(そうだ…....このラファエルの性格、忠誠心…...その裏をかけば、あるいは…..)」
….が、決して必勝法のようなおいしい策ではない。
あくまで机上論であり、間違えばまたしても敗北…..
それに第二戦を負けるということは、三戦目以降に「勝たなければ」という大きなプレッシャーが掛かるということ。
この二戦目、バビロンにとっては、精神的にも負けられない戦いだった。
「(いや…...どんなに汚い勝利の鍵でも、もう絶対に落とさない)」
勝機をつかんだにも関わらず、それを手離すようでは生き残りなどありはしない。
チャンスは自らの手で作ってこそ、初めてそこに価値が生まれる。
バビロンは意を決し、その土台を作りにかかった。
「(フフ….この顔つきといい…まさに何かを企んでそうではありませんか)」
ラファエルは心中でほくそ笑んだ。
一戦目の勝利の余韻に浸っている場合ではない。バビロンの行動に目を光らせる必要がある。
「…おい」
「はい?」
「カードを渡せ…..私がシャッフルする」
「あ、どうぞ…」
テーブルの中央には、一戦目で捨てられたカードがこんもりと山になっている。
ラファエルは警戒心を維持したまま、それを手でバビロンの前に押しやった。
しかし彼はそれに手を付ける前に、会長席のソファに座っているウォリアに顔を向けた。
「…...会長さんよ。ひとつ頼みがあるんだが構わないか?」
「ほう? 言ってみたまえ」
「…..賭け金の変更だ。ただしこちらは何も変えない。負けたらマスターは好きにしていい」
「…ならばこちら側の賭ける物を変えろというのかね。いったい何をどうしろと?」
「つまり…...」
バビロンは余っていたジョーカーを引っ掴み、会長めがけて手裏剣のように投げつけた。
カードは見事な曲線を描き、会長の顔さえ切
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