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バベルの塔
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− 奇跡の背中は −
し、しかしそれでは…!!」
「…だが安心したまえ。勝利の策は既に打ってある」
ウォリアは重要書類の詰め込まれた引き出しから、自前のトランプカードを取り出した。
だが彼が机の上にばら撒いたそれを表に向けた瞬間、ラファエルは異変に気づいた。
「か…会長…..このカードは…」
「良くいうなら知略。悪くいうならイカサマ。
だが我らバイオリック社に未来を授けるであろう、奇跡のカードだ」
ウォリアはラファエルに説明する例として、一枚のカードを指さした。
ラファエルは驚愕した。
なんと左上には「8」と描かれているのに、右下には「6」の数字が光っている。
おまけにカードの左上半分と右下半分で、マークの色が違っていた。
「これは…..まさか…...」
「フフ…その通りだ。一枚二役、一石二鳥、一挙両得のカード」
まさに、二つの顔を持つカードだった。
基本は「8」だが、状況に応じて「6」にも変身できる能力がある。
だが重大な欠点があることは、ラファエル以前に小学生でも分かるはずだ。
「しかしこのカードは…..テーブルマジック等なら使えるでしょうが…..大富豪ではちょっと…」
「いやいやいやラファエルよ…...大富豪だからこそ使えるのだ」
「えっ…..」
「君はカードを提出する際、どのような出し方をするかね?」
ウォリアは普通のトランプの山から、2のカードを4枚選んで彼に手渡した。
ラファエルは言われるまま、自然なカードの出し方をやって見せた。
一応、革命であることが相手にも判るように、一番上に重ねたカード以外は、左上の数字の部分だけが見えるようにして出した。
「…そう! それだ…...無意識にみんなそうしてしまうのだ。だが誰もが何気なくやっているこの出し方も、裏を返せば強力な秘技となる。
もし今のような出し方でこのマジックカードを提出したら、相手にはバレると思うかね?」
「あ…....」
よくよく考えれば、非常に見抜きづらいものだった。
視野的にも心理的にも死角なのだから、まず相手は見抜けないまま終わる。
「…どうだ、面白かろう?」
「し、しかしこれを….どうやって手に入れるのですか?」
「どういう意味かね」
「いえ…..これを使えば簡単にトリプルや革命を起こせる、という利点は分かります。
ですが奴の目をくぐってこれを手に入れるには…..シャッフル時にもイカサマをすることになります。
二つのトリックを連立させるのは…..多少危険ではないかと….」
「なるほどな….」
ウォリアは顎を指でさすり、しばらく考え込んだが、わずか数分で対応策を見つけ出した。
「いや、問題ない。ラファエル、君が初戦で、相手にも分かりやすいイカサマをすれば良い。
するとそれを発見したバビロンは対抗心を燃やし、二回戦では彼の方がイカサマをするだろう。
それが如何なるネタかはいざ知らず、ワシはそれを罵倒し、イカサマ禁止令を二人の前で公言する。
そして公正なシャッフルをするとの名目で、別の社員を工作員として仕立て上げれば良い。
そしてその工作員に、隠し持っているイカサマカードを君に渡させよう。こっそりとな」
「は、はぁ…...」
「イカサマ禁止令が出た直後にイカサマをしてくるとは、まさか奴も考えまい」
ラファエルとしても、なかなか筋が通っている気がした。
結果その作戦を遂行して、三回戦を制することになるのだ。
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「(確信ではないですが…..嗅ぎつけられましたかね…
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