[1]
TOP [2]
感想
[3]
RSS
バベルの塔
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 32 33
− 剣が折れるまで −
「(正直ナメていましたよ…..ここまで追い詰められる日が来るとは…)」
ーーー大富豪、最終戦。
ラファエルはカードを寄せ集めながら、心中でバビロンに賞賛と敬服を贈っていた。
まさかの2 対 2という、自分でも予想だにしなかった事態。
己の失態が、ここまで敵の追撃を許してしまったのだ。
社員がラファエルからカードを受け取り、素早くシャッフルを施す。
その後は通例どおり、12枚ずつのカードを二匹の手元に配った。
「(貴方の、命を捨てるその覚悟は素晴らしいかもしれない。
しかしそれは本当の決意ですか?….口先だけではありませんか?)」
そうだ。見せかけに決まっている。
架空の決意を見せつけて、こちらを畏怖させようとしているだけ。
自分の死が確実となれば、流石のバビロンも震え始めるだろう。
何しろ敗北の影はジリジリと、彼の背後から迫り寄ってきているのだから。
「おい…...誰だ? こいつらは」
バビロンの背後や両際に立つ、黒ずくめ猛々しい男達。
ウォリアは丁寧な口調で答えた。
「ハハ…人工竜といえど、死や敗北は恐怖の対象での。
まさか無いとは思うが、君が約束を破棄して逃げ出す可能性も否定できんのじゃ。
だから身勝手を承知の上で…保険を打たせていただいた」
「フフ….まあ確かに妥当な考えだ。だが…...公平感は崩れるぞ」
「…何が言いたい?」
バビロンはラファエルに人差し指を突きつけた。
「私には用心棒を付けておきながら、こいつのバックには自由を許す?
おいおい、それは酷い話じゃないのか…?」
「・・・・・・・」
バビロンはチッと舌を打った。
都合が悪くなると、こういう身分の高い連中は100%黙り込む。
バビロンは肺に溜めた空気を一気に吐き出し、カードを伏せてテーブルに置いた。
ラファエルの表情が曇る。
「まぁ構わないか…。
そっちが勝負の約束を反故にすれば、こちらもそれ相応の対応を取らせてもらうまで」
「「「……!!!」」」
バビロンが背中を掻くような動きを見せる。
その直後、手にはクシャクシャに丸められたメモ用紙が握られていた。
どうやらソファと背中の間に、ずっと隠していたようだ。
そこに書き込まれている内容を、咳払いの後に読み上げる。
「…8月、30億円以上の資金を横領。12月、ソープ社を不法に吸収。4月、国家支援金の不適切使用…」
「な、なんだ…それは….」
「フフ…会長ともあろうお方が、まさか知らない筈が無いだろう?
お前らが過去にしでかした悪行の数々だよ….」
ウォリアが顔を青ざめる様子を前に、バビロンは口元を吊り上げた。
彼は用心のために、この会社の裏事情や秘密をいくつも手中に収めていた。
もし彼らが大富豪に負けたにも関わらず、襲い掛かってきたり、ロンギヌスの返還を拒むような事があれば、彼はすぐさまこれらの情報を世間に流す。
メモの内容を一瞬でネットに公開するなど、バビロンにしてみれば造作も無いことだった。
「ここで生まれて一年間、お前らの悪どい商業戦略を横目に育ってきた私だ。
おまけにハッキングを仕掛けた際に…いくつか頂戴したスキャンダル情報もある」
「き、貴様なんと無礼な口を….!!!!」
右側にいた社員が怒り狂い、彼のこめかみに銃を押し付けた。
「…勘違いするな、貴様はあくまで勝負をさせてもらっているだけだ。
ウォリア会長の指先ひとつで、勝負取り止め、即座にお前を拘束することも出来るんだぞ!!」
「…ふぅん….それは失礼したな…」
バビロンはメモを握った左
[5]
→
▼作者専用
[1]
TOP [2]
感想
[3]
RSS