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バベルの塔
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− 砕ける玉のように −
貴方の番ですよ。元・会長さん。
八つ裂きと三枚に下ろされるのと…どちらが好みですか?」
「黙れ……!!!」
ウォリアは出口がひとつしか無いことも忘れ、彼に背を向けて逃走を図った。
しかし踵を返して立ち上がった瞬間、背後に立ち尽くしていたバビロンの腹部に衝突する。
獲物が掛かった、というような表情で、バビロンは彼を両腕で抱きしめた。
無論、それは愛のスキンシップなどではない。
「……ラティオス、マスターを頼む。先に地上に降りてろ」
「え、でも……」
「心配は不要だ。こいつは私の手で罰してやる」
不敵にそう告げられ、ラティオスはやれやれと肩をすくめた。
意識のないロンギヌスを抱きかかえ、全壊して使い物にならなくなった扉から出ていく。ギラティナとルギアも、すかさず後に続いた。
二人きりとなったVIPルームに、三度目の沈黙が訪れた。
「…私も早く帰りたいんでね。さっさと終わらせようじゃないか」
バビロンが天井に頭を擦らせて言った。
その姿を見上げるようにして、ウォリアは茫然自失としていた。
ぴちゃぴちゃと降ってきた涎を額に受けても、それを拭き取ろうとする動きさえない。
「フフ……頭と足、どっちからが良い?」
「ふ、ふざけるな!!!」
現実を拒む子供のようにウォリアは怒号を飛ばした。
身体をくねらせて逃げ出そうとするが、竜とヒトでは力の差は歴然だった。
たださっきまで100匹を超えるコラッタを宿していたバビロンの腹部が、彼の顔を覆うように押し付けられる。
散々バビロンを苦しめたコラッタの大群は、既に肉厚な彼の胃壁に埋もれ、天に昇っていた。
「うぶぁ……ぐぉ…ぅ…」
「フフ……今になって思えば、なかなか美味かった。
もっと頂けるならそうしたいが、ただどういう訳か今は人肉を味わいたい気分でねぇ……」
5回連続の大富豪ともなれば、心理戦と同時に体力勝負でもある。
そんな修羅場を越えてきたバビロンにとって、目の前に佇むかよわい老人など、一端の『獲物』でしかない。
粘着質な涎を降らせながら、バビロンは乾いた血の跡が付いた口元を近づけた。
疲労と興奮に息を荒げ、ウォリアの年老いた肩まですっぽりと咥える。
彼のくぐもった呻き声が、儚く部屋の空気を震わせた。
「すぐに呑み込んでもらえる…なんて期待しちゃいないだろうな。
私が言うのも何だが、嘘つきにはそれなりの罰が下るものだ」
「ぶっ……ぼ、ぼぉ…!!」
その「罰」が何であるかを、ウォリアは顔面をもって痛感した。重厚かつ悪臭に満ちた舌を顔に押さえつけられ、苦悶の雄叫びを舌に向かって吐き出す。
老衰しきった五感には、まるで拷問のような刑だった。
さらに獲物の存在を感じた舌の表明かドプドプと唾液が溢れ、ウォリアを窒息へと手招く。
「ん……むぅぅぉ…ぅ…ンンぅ……!!」
「ほう、流石はかの『有名だった』バイオリック社の『会長だった』男だ。頑張れ頑張れ」
『だった』を強調した彼の言い方にイラッときたのか、ウォリアは視界を覆い尽くす舌に、入れ歯で全力で噛みついた。
だがそれも、所詮はもろい老人の顎だった。
「フフ……それでは早速」
「ぐ…やめろ、やめんか……!!」
ウォリアの懸命な抵抗は、残念ながらその存在すら気づかれることは無かった。
バビロンは顔を天井に向けると、彼の老体を持ち上げて真っ逆さまに落とした。
肉質が窮屈そうに唸っている喉に、首から上はもちろん、肩や胸回りまでがずっぽりと呑み込まれる。
そのまま重力に逆らうことなく、ウォリアの四肢はついに見えなく
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