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バベルの塔
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− 敗者復活戦 −
きた相手を全てこのカメラに収めてきた」
男は首から下げたアナログカメラを、そっと丁重に持ち上げる。
「そして今日、君が我が社に侵入したと聞いて驚いたよ。
その当時の苦労が、今にも私の部下となって蘇るだなんて!」
「何を寝ぼけたことを…?」
「フン….今に分かるさ。カメラメモリの素晴らしさが…」
コホンと咳払いを一つ、そしてメモリをカメラの記憶部に突き立てた。
メモリは見る見るうちにカメラに吸い込まれ、ついに一片も見えなくなる。
「カメラとは記憶….その当時の記憶を保存できる手段……だかそれだけではない!!」
「!?」
「現像するのだ……君の仲間が闘った、その兵を!」
カメラから巨大な火の玉が現れ、ぐるぐると男の周囲を回りだした。
それは四つの光球に分裂すると、男の両側に二つずつぷか浮かぶ。
そしてカッと眩い閃光が目を閉じさせた。
「……誰だ、こいつら」
「フハハ…まあ君には理解できまい……」
男の右側に二人、左側には二匹のポケモンが立っていた。
人間の方は豪華絢爛なマントを身につけた者と、幹部男と同じ黒スーツ男。
ポケモンの方は白馬を思わせる風体のアルセウスと、艶のある黒い体に赤のラインが走った……カイオーガだった。
バビロンはその中の誰とも面識がなかった。
「フフ….ゲーチス、エクサ=バイト、アルセウス、そして裏カイオーガ。
君の仲間がかつて、命を賭して闘った相手だ。最も、この中の誰一人とし
て勝利は掴めなかったがね」
「なんだ、あいつらに負けた連中か」
「そう…一度は『負けた』連中だ。だが二回目も敗れる訳ではない。
それに….こうすれば問題なかろう?」
幹部男はポケットから戦闘用のメモリを四本まとめて取り出すと、
従者のように動かない彼らに突き刺した。
キチッ…『CAIVER(聖剣)!!』
キチッ…『BOMB(爆弾)!!』
キチッ…『UNICORN(一角獣)!!』
キチッ…『OCEAN(大洋)!!』
「おうおう….流石は(無駄に)お金持ちな企業だ。メモリも売るほど
あるという事か」
「その通り….だが今我が社が欲しているのは金ではない、君の亡骸だ」
カメラメモリで復活した者達の瞳には、確かな生気が宿っている。
バビロンは内心の微かな恐れを押し殺すと、爪と牙を武器に立ち向
かっていった。
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←<2011/10/20 00:32 ロンギヌス>
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