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バベルの塔
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− 繋がらない方程式 −
バビロンの滑らかな黒の肢体が、ガクンと膝を折って倒れる。その口元から滴っていたのは、勝者の涎などではなく、紛れもない敗者の鮮血だった。
「ハハハ…そもそも単独犯で我が社を打ち倒そうとすること自体が間違いだ。君は単なる、前世紀の遺物にすぎない。そろそろそれを自覚したまえ」
「…ッ……フフ…随分と好き放題言ってくれるじゃないか……赤字すら乗り越えられない間抜けが…」
「黙りたまえ」
四人の戦闘員を背後に従えて、幹部男はキッとした視線を向ける。満身創痍のバビロンの身体には、百を超える傷が生々しく光っていた。胸元にあるもっとも重い傷口に唾を塗りながら、自分を見下ろしてくる男にほくそ笑む。
「少なくともここを廃墟にするまでは….私は黙らない」
「…まあその野望が潰えるのも時間の問題だと思いたまえ。おい! 連れていけ!」
裏カイオーガとアルセウスが動き、サッとバビロンの両側へと移動した。もちろん肩を貸す、などといった温厚な対応はしてくれない。ただ逃げ出せないよう目を光らせ、必要とあらばムチ打って歩かせるだけだ。
「さぁご案内しよう……新社長の御前へ」
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上層階でバビロンが敗北を遂げた頃・・・・
未だに社内への侵入すらままならないロンギヌス達と、ギラティナは合流を果たしていた。青リンゴのように明るい緑の眼と、いつもと何かが違うギラティナの様子に、カイオーガも目を丸くするばかりだった。
「ギ、ギラティナ…..だよね?」
「うん」
「いや、その時点でおかしいだろw」
頭をぶつけて性格が180度反転してしまったのか、何かに取り憑かれてしまったのか(正解)。
とにかく、あれほど闘いを嫌っていたギラティナが来てくれた。カイオーガと伯仲した戦闘力と、何より彼は巨大な「翼」まで持っている。立ち往生を強いられていた彼らにとって、願ってもないことだった。
「じ…じゃあギラティナ、俺らを上まで運んでほしいんだけど…」
「ふぅん……お安い御用さ」
はたから見れば薄気味悪い6本の触手が、翼となってその真価を発揮する。
ギラティナは空中でクルリと背中を向けると、乗りやすいように高度を低くした。ロンギヌスとカイオーガは彼の背中に張りつき、振り落とされないようしっかりとしがみ付く。
「よし……それじゃあ出発進行!」
「…その前にひとつ聞いてもいいかい? なんで入れないんだ?」
「いやぁ〜、バビロンがコンピュータウィルスを拡散させたらしくて….俺らまで汚染されちゃ困るからな」
「…なるほどね。つまり触ったら伝染してしまう、みたいな?」
「頭いいな、お前って」
「え….ちょ、ちょっと待ってください!!?」
素っ頓狂な声を上げたのは、柄にもなくラティオスだった。指先を顎に押しつけながら、深刻そうな表情で空気を見つめている。
「……せ、接触するだけで汚染してしまうんですよね。それじゃ…..バビロンさん本人は?」
「「………あッ…!!!」」
状況がピンと来ないギラティナ以外、その場にいた全員が凍りついた。
もしこれから助太刀に向かう仲間が、ウィルスという名の泥に塗れていたら?
そしてその害が自分にも及び、発狂することとなったら?
「ウィルス作成者は、万が一の事態のためにワクチンも造るのが普通です。そしてそれをあらかじめ自分に打っておき、自分の安全を確保してから行動を始める……ですよね?」
「そ、そうだけど…」
「でもあの落ちてた設計図には、ワクチンについては一
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