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【保】神々の戯れ〜神様、街へ行く〜
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ある路線バスの車内。
車内放送が次のバス停の名前を告げると、水色のワンピースを着た十代半ばの少女が隣にいた真っ黒なニット帽をかぶった同年代の少年の肩を叩いた。
「ねえ、次で降りるんだよね?」
「ああ」
少年のぶっきらぼうな答えを聞いた少女は、嬉々とした様子でボタンを押す。
『次、停まります』
バスが次の停留所で停車することを知らせる無機質な女性の声が流れた。
「一度でいいからやってみたかったんだよね」
「ったく、つくづくお気楽な奴だな。私なんかそれどころじゃないのに」
ご機嫌な少女とは対称的に少年はうなだれる。
その直後バスが停車し、その二人はバスから降車した。
「んもー、月夜兎は私が女の子だってことにそんなに驚いたの?」
少女、もとい水神が呆れるように聞いた。
「当たり前だろ、水神。約300年間ずっと男だと思ってた奴が実は女でした、だなんて驚くに決まってるじゃないか」
少年、もとい月夜兎が釈明する。
何故こんなに揉めてるのか、というかそもそも何故山奥に住むこの神々が人間の街にやってきているのか?
事の発端は水神のある提案からだった。
ある提案の中身というのは、お互い人間に化けれるようになったのだから人間の街に遊びにいこうというものであった。
月夜兎はそれを快諾し、両者は人間に化けて着替えることにした。
すると水神がワンピースを着てきたものだから、月夜兎は仰天した。
何故なら月夜兎はずっと水神のことを男だと思い込んでいたからだ。
そして現在に至っている。
<2011/12/05 23:02 とんこつ>
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