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捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜
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− 水難の相 −
いに、ひとつでも多くのお宝を見つけようと目を凝らす。
このときはまだ、異常が起こっていることに二人は気付いていなかった。
「あ、あんさんありましたよ、最後の金貨!」
それをはしゃぎ気味にそれを拾い上げ、彼女は振り返る。
錆びのないキラキラとした金貨を、血眼でお宝を探すロンギヌスに見せようとした。
「……ぇ…?」
ーーー既にロンギヌスの姿はなかった。
いや、消えていた、という表現の方が正しいかもしれない。
ミロカロスが彼から目を離した、そのたった十数秒の間に。
ミロカロスは限界に近い大声でロンギヌスの名を呼んだが、返事はおろか木霊すら返ってこない。
また、ロンギヌスが宝を探しに行ったT字の右側の通路にも、彼の気配はない。
ただ壁や床を覆うようにして、大量の苔が密生しているだけだった。
ミロカロスが向かった左通路と見比べてみても、単に生えている水苔の量が違うだけだ。
ミロカロスは本格的な心配を胸に寄せ、全速力で泳いできた通路を戻った。
ロンギヌスが既に来た道を帰っているなら、100%追いつくようなスピードにも関わらず、一向に彼の気配はない。
結局、彼がいないまま、ミロカロスは遺跡の出入り口に到達してしまった。
彼女はもう一度探しに入ろうとしたが、最後のT字路以外に分かれ道などなかったのだから、もうこの中にいる確率は低い。
ロンギヌスが既にこの遺跡を後にした、あるいは船舶に戻っている可能性を信じ、ミロカロスは舟番のギラティナの元へと急いだ。
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←<2012/03/19 23:58 ロンギヌス>
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