[1]
TOP [2]
感想
[3]
RSS
捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33
− BLOB −
「……行方不明? マスターが?」
「うちが、ちょっと目を離した隙に消えてしもうたんです……ほんまに申し訳ない!!」
「別に君を責めるつもりはないのだが……とにかく、一旦全員を呼び戻そう。話はそれからだ」
ギラティナは淡々とした態度で目を閉じると、カイオーガやラティオス達に向けてテレパシーを放った。
彼の強力な意識をもってすれば、全員に異常を知らせるぐらい何でもない。
しかしその間際に見せた仏頂面が、ミロカロスの罪悪感をさらに増幅させてしまったようだ。
「ご…ごめんなさい……」
とうとう彼女は顔を伏せ、涙を抑えようと歯を喰いしばった。
ロンギヌスがロストしたのは、完全に自分の不注意だと思っているようだ。
ギラティナは慌ててロンギヌスのポーチからティッシュを数枚取り出し、彼女に差し出す。
彼にしてみれば単純に地球を征服する方が、涙ぐむ女性を扱うより遥かに簡単な気がした。
5分後、海にバラバラに散った仲間が全員帰ってくる。
興を削がれた様子のレムリア&ラティオスとは対照的に、カイオーガは生まれて初めてロンギヌスに感謝しているようだった。丁度、ダークライに追いかけ回されるのに疲れていたらしい。
しかしそれ以上にギラティナが気になったのは、彼らが至って平然と振る舞っていることだった。
ロンギヌスが行方不明になったことに、驚く気配も焦る気配もない。
いざギラティナがその理由を訊いてみると……
「えっ、だってよくあることですし……」
「そうそう……僕ももう慣れちゃった♪」
ギラティナも、その気持ちが分からない訳ではなかった。
今までにロンギヌスが分からない引き起こしてきた事件・事故の類を考えれば、迷子などそう大騒ぎするようなネタではない。
しかしそんな過去を知らないミロカロスが泣くほど気負っているのだから、ここは真剣な目で取り組んでやりたかった。
「大丈夫だよ。きっとおっきな海藻にでも引っ掛かって……」
「だといいがな」
カイオーガの言葉は途中で遮られ、甲板は巨大な影に覆われて暗くなった。
ふと空を見上げると、バビロンが珍しく真面目な表情で翼をはためかせていた。漆黒と青鱗の混じったそれを折りたたみ、ドスンと轟音を立てて甲板に着地する。クルーザー全体が大きく波に揺れた。
「バ、バビロン貴方……どうして急に…」
レムリアの問い掛けを無視し、バビロンは僅か一歩でミロカロスの元へと詰め寄った。ギラティナ程ではないにしろ、彼女はバビロンの巨体の迫力に押されているように見えた。
「二、三、教えてもらおうか。最後にあいつを見たのはいつだ」
「か、海底の小さな遺跡どす……」
「どんな遺跡だ。形は?」
「長い一本の通路で出来ていて……その先が二手に分かれてるんどすが、確かすぐ行き止まりになっていたような……」
「……フーン……おいシャチ坊主」
ミロカロスとの会話を早々に切り上げ、今度はカイオーガの方へと向き直った。
「坊主」呼ばわりに彼は反論しかけたが、バビロンはそれを何処吹く風で話を進めた。
「お前が適任だ。ラティオスとそこの黒い奴を引っ張って、その遺跡の周辺を捜して来い。
怪しいものは片っ端から暴露するんだな」
「な、なんで君に命令されなくちゃいけないの……!!?」
「私が司令塔、お前らは突撃兵。これ以外に理由がいるのか?」
当然カイオーガは喚き返そうとしたが、彼の横でギラティナが首を横に振ったのを見て、渋々言われた通りに動いた。
最初と同じように、三本の水柱が空に打ち上がる。
「バ、バビロン。私……行か
[5]
→
▼作者専用
[1]
TOP [2]
感想
[3]
RSS