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捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜
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− BLOB −
なくていいのかしら」
レムリアが腰引き気味に問いかけた。
彼女の心配そうな顔色を見て、バビロンはフッと微笑を浮かべる。
「フフ……マスター1人にわざわざ女手を煩わせることも無いだろう。このぐらいあいつらだけで充分だ」
「バビロン……何故分かったのだ? マスターが行方不明になっていると」
ギラティナは彼にテレパシーを送った覚えは無かった。
にも関わらず、超人的な嗅覚でそれを嗅ぎつけてきたのだから驚きだ。
バビロンはまたしても失笑し、食堂で仕入れた海の『モンスター』の噂を語り始めた。
「……名前は"ブロブ"だったかな。スライム状の化け物さ。
それがこの海に生息してると聞いて……まあ、注意がてらに来た訳だが。
まさか本当に奴に取り込まれていたとはな……」
「いや、まだ断言はできないのではないか?」
「九分九厘そうに決まってる。
マスターの毎度毎度の不運や習性を考えれば当然だろう」
=============
「……っあ…おいこら…ッ……出せってば…!!」
ロンギヌスの頭の中は、今やショックと混乱以外には何も無かった。
数分前まではミロカロスと好奇心を共にして、お宝さがしに夢中になっていたのは覚えている。
だが気が付けば、ドロリと流れるようなアメーバ状の物体に、訳の分からないまま全身を絡め取られている。
ロンギヌス自身は知る由も無いが、その物体こそバビロンの直感を刺激した海のモンスター、"ブロブ"だった。
近くに寄ってきた獲物をスライムのような身体に引き込み、長い時間を得てその消化を終えるという、ただそれだけの生物。
もちろん、性格や明確な意志はない。あるのは食いしん坊と恐れられるほどの食欲だけだ。
むにゅぅ……コポッ…コポッ……クッチュ…
「ぅ……んぅ……んんんっ…!!」
赤みがかったピンク色の肉塊が、ロンギヌスの肌を胃壁をも凌ぐ密着感で包み込む。
何しろアメーバのように流動性が高いため、ブロブは獲物の形状に合わせて柔軟に形を変えられるのだ。
それこそ、ロンギヌスの『型取り』が出来てしまうほどに。
全身を呑み込まれた彼からすれば、それはスライムの海に飛び込んだのと変わらない感覚だった。
そもそもの原因は、ロンギヌスの足元に空いていた穴にあった。
実は長年そこにのし掛かっていた水圧によって、石の床が試験管のような筒状に陥落していたのだ。
しかし、ロンギヌスはただ水中を遊泳していただけなのだ。
本来なら、自分の直下に巨大な穴が空いていようといまいと関係ない。
問題なのはその縦穴に、腹をたっぷり空かせたブロブが潜んでいた、ということ。
ブロブは頭上にロンギヌスの気配を感じるや否や、何の躊躇いもなく彼をその縦穴に引きずり込んだのだ。
そしてまさに今、着々とロンギヌスの消化を進めている。繊維の薄くなったダイビングスーツが、その良い証拠だった。
「……くぁ…ッ…」
ブロブの責めは見かけ通り無機質な動きだった。
ロンギヌスが暴れようと嘆こうと、肉質による単調なマッサージのループ。
しかしどれだけ身を悶えさせても、このブロブの住処が狭い縦穴である以上、決して外に逃れる術はない。
せめて穴の入り口に手を掛けることが出来れば、ロンギヌスにも自力脱出の可能性はあるのだが…….穴は彼の身長のほぼ倍の深さがあった。到底手が届くはずもない。
ロンギヌスが脱出方法を巡らせている間にも、ブロブの動きはより活発化しているようだった。
ほんわかと温かいスライムが肌の上を覆うため、やがて喘ぎ声の漏れる頻度が高くなってくる。
小さな快
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