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捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜
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− 魅惑の対価は −
といった得がある
とは思えないけれど……」
「得が無いのにわざわざ話し掛けるはずないだろ」
青年はレムリアとの身長差の恐れを抱くことなく、すっと彼女の
目下へ歩み寄った。薄っすらと透き通った腹部の向こうには、本
来なら彼女の背中に隠れているはずの赤いベンチが見えている。
「フフフ……これでお姉さんの「色」は消えた。もう元に戻るこ
とは無いだろうね」
「えっ……」
これはレムリアにとって強烈な一言だったようだ。劇薬とはいえ
あくまで「薬」なのだから、効果は一時的なものだと思い込んで
いたらしい。彼女からそれについて訊かれると、青年は再び口に
笑いを含んだ。
「ククッ、何を言い出すかと思えば……薬で削ぎ落とした色素が、
自然に元に戻るとでも考えてたのかい? あり得ないね」
「そ、そんな……!!」
「フフッ……ま、例外はあるけど」
青年はジャージのポケットに手を突っ込むと、小さな茶色の瓶を
取り出した。表面には「解毒用」という手書きのラベルシールが
貼ってある。
「お姉さんのDNAには、ちゃんと自分の本来の体色がインプット
されてる。これはそれを頼りに、再び全身を着色する成分が入っ
てるんだ。飲めばたちまち、元の身体に戻るさ」
「……よ、要求は?」
「おや、察しが良くて嬉しいよ。なになに、お姉さんが失うもの
は何もない。ただちょっとばかり、僕を悦ばせてくれればいいだ
けさ」
「……?」
「フフ……」
次の瞬間、レムリアは青年の取った行動に愕然とした。彼はなん
と恥じらいの欠片も無く、自ら彼女のお腹に擦り寄ってきたのだ。
白い手でむっちりとした肌を撫で回しながら、甘える猫のように
横顔をスリスリと押し付ける。
「いいねぇ、最高……こんな絶品の温かさの中で、今までにいっ
たいどれだけの命が尽きていったんだろうねぇ……。胃液にトロ
ッとまみれてさ、断末魔さえも聞き入れて貰えずに……胃壁に呑
み込まれて……さぞかし苦しかっただろうにねぇ……」
「え、あ……ちょっと貴方……」
青年は喘ぐように息を荒げながら、レムリアの腹部に手や顔を擦
り付け続ける。微かな弾力に押し返されるのがまた気に入ったよ
うで、青年の動きはさらにエスカレートするばかりだった。
もちろん、他人を惑わす経験を何度も積んできたレムリアにして
みれば、この程度は嫌悪に値しない。しかし欲望を抑えることな
く、こうまで堂々と抱き着いてこられたのは初めてだった。今ま
でリーグの任務上、兵士などに抱き着いて堕とすことは何度もあ
ったのだが。
「貴方を悦ばせるって……もしかしてそういう事かしら。優しく
して欲しいの?」
「フフ……いいや、僕にそんな趣味は無いよ。もちろん、お姉さ
んみたいな美竜に興味が無い訳じゃない。優しくされたらそりゃ
嬉しいに決まってる。でもねぇ……」
相手が竜では腕の長さが足りないため、腹にへばりつくような形
ではあるが、青年は一方的な抱擁を止めようとはしない。あまり
に情熱的な青年の顔色や声に、レムリアの背筋に嫌な予感が走っ
た。
「……さぁ、嫌とは言わせないよ。僕の願いを聞き入れてもらお
うか。大型ポケモンなら2匹、小ポケモンなら10匹を食べてくれ」
「た……食べる……?」
「そうそう、お腹がたっぷんと揺れる程にね。手加減はしなくて
いいよ。適当な奴らを背後から襲って、そのまま丸呑みにしちゃ
えばいい。お姉さんなら頑張ればバンギラスだって喰えると思うよ」
「……ど、どうしてそんなことを…」
「フフ……この耳
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