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捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜
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− 謝罪 −
い?」
「いや……単に相手を間違えただけだろう。私はこいつを知らない」
当然バビロンは嘘を盾にしてカイオーガを逃がそうとしたが、彼がそんな事に気づくはずも無かった。そして完膚なまでにバビロンの嘘を踏みつぶす。
「うん。イッシュリーグっは知ってるよね? 僕ら、一緒にそこに住んでる仲間なんだ♪」
溜め息とともに項垂れるバビロンに対して、青年はその言葉を待っていたかのように口の端を吊り上げた。やがて彼が頷いたのを見て、シュバルゴはカイオーガの背にも巨大な槍を押し付ける。
「なっ……何? どういうこと?」
「……動くなシャチ坊主。抵抗しない方が良い」
バビロンが言わずとも、ゼロ距離で武器を突き付けられては流石のカイオーガも抗い様がない。青年は彼とバビロンについて来るよう指示し、再びレムリアの隣へと舞い戻った。
レムリア、バビロン、カイオーガの三者を連れた青年は、壁際に設置されたゲーム台の前で足を止めた。途中、バビロンは無関係なカイオーガを解放するよう青年に求めたが、あっさり却下された。今回のことを知られた以上、勝負の決着がつくまでは居座ってもらう、というのが彼の意見らしい。
「フフ……ここまで来れば、今回の種目が何か分かるかい?」
青年の指定したゲーム台は、いかにもゲームセンターに置いてありそうな雰囲気を漂わせていた。しかしその画面に表示されているのは、巨大な方眼と"STAND BY"の文字。操作用のパネルと思わしき場所には、十字キーとテンキーが備え付けられている。
青年がギャンブルの内容を発表しようと口を開いた瞬間、それを遮るようにバビロンは呟いた。
「……数独か」
バビロンの推理にカイオーガはえっと驚き、青年は歯を見せて笑った。"数独"というゲーム自体を知らないレムリアは、困り顔で全員の顔を見回している。
数独とは、数学的な考え方がものを言うパズルゲームだ。ナンプレと言う場合もある。
ルールは至って簡単で、3×3のブロックに区切られた9×9の正方形の枠内に、1〜9までの数字を当てはめていくだけだ。ただし、縦・横の各列と、太線で囲まれた3×3のブロック内に同じ数字が入ることは許されない。これが足枷だ。
またこのゲームは、プレイヤーの熟練度によって難易度を変えることも出来る。一般的には24個の数字が最初からヒントとして配置されているが、この数を増やすか減らすかによってゲームの難しさは変動する。もちろんヒントの数字が少ない方が上級者向けだが、それが16個以下だと解答が不可能なため、ヒントを17個でプレイするのが最も難しいと言えるだろう。
「あーーッ!!!!」
突然、カイオーガが甲高い叫びを上げた。シュバルゴが槍を突き付けてすぐに黙らせたが、何かに気付いたようだ。バビロンが訳を尋ねると、彼は不安そうな口調で話し始めた。
「今思い出したんだけどさ……ボク、こいつ知ってるよ。確か数学グランプリの人間の部で、あっさり優勝しちゃった奴だ」
「数学グランプリ? お前が旅行券を手に入れたやつか」
「ボ、ボクが出場したのは別の部門だけどさ。どの部でも3位までは全員に発表されるから……」
その中で最も権威ある人間部門で、金メダルを掻っ攫ったのがこの青年なのだという。これを耳にして、バビロンは改めて青年の「異常さ」に気圧された。狂気としか言いようのない性癖を持ちながらも、天才的な能力を兼ね備えている。
……しかし、同時にほくそ笑んでもいた。
外見こそ他の竜と変わりないが、自分は人工竜。己のコンピュータを装備した頭脳は、計
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