[1]
TOP [2]
感想
[3]
RSS
捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 32 33
− 悪鬼 −
そ……便利なんだか不便なんだか……)」
ところがここで問題が起きた。バビロンは脳内のコンピュー
タを使用している際、他のことを同時に行うことができない。
よってゲーム機のバグの修復と、問題の解答を並行して進め
ることは出来ないのだ。
バビロンは一瞬、ロンギヌスのポテチを摘みながらiPodを片
手にテレビを眺めるという器用さが、途轍もなく羨ましいも
のに思えた。
「(優先順位をつけるならもちろんバグの修復だが……それ
だと……)」
目を閉じたまま片手でのバグ修復となると、かなり難航する
と考えられる。
その間にもし、青年がナンプレの問題を解き終えてしまったら……
……バビロンの敗北が決まってしまう。バグ修復に時間を費
やした挙句、1マスも埋められないままレムリアを奪われる……
それは最悪の結果を意味していた。
しかしそのときに青年がまだ問題に手間取っていれば、バグ
の修復はバビロンを勝利に運ぶレールとして大きな役割を果
たす。
バビロンは激しい葛藤に苛まれた。
本当にこれで正しいのだろうか……
他にベストな選択肢は無いのだろうか……
「…………!!」
バビロンは葛藤の無意味さに気付いたのか、アクセル全開で
バグの修理に走った。ここで思い悩んでも仕方がない。とに
かく何か行動しなければ何も変わらないのだ。
============
やがて数分後、バビロンはゲーム内に潜んでいたバグを完全
に取り除いた。たかが数分と言っても、この青年が相手であ
るからにはかなりの差が出来ているはずだ。おそらくはもう
完成間際まで届いているのかもしれない。
バビロンは1マス目に取り掛かる直前、青年のプレイ画面へ
と目を向けた。空白であるマスのうち、およそ9割が既に出
来上がっている。流石は数学のコンテストで優勝をもぎ取っ
ただけの事はある。
バビロンは一気に彼との差を詰めようと、怒涛の速さでタッ
チパネルのテンキーを叩き回した。隣で同じ動作を繰り広げ
ている青年に、わずかに緊張が走ったようだ。もうここまで
来ては、全ての面倒な計算などを跳ね除けて突き進むしかない。
バビロンはありとあらゆる感情を捨て去り、ただ機械的に指先
を動かすことにのみ意識を向けた。
そして…………
[4]
←<2012/05/25 18:38 ロンギヌス>
▼作者専用
[1]
TOP [2]
感想
[3]
RSS