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捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜
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− 魅力の仲居さん −
ことに気付いたのか、カイオーガはぬっと彼女の前に顔を出した。
「……どしたのレムリア。早く行こうっ♪」
「えっ!!? あ、ごめんなさい」
=================
「おこしやす〜。よう来とくれやしたなぁ〜」
出迎えてくれたのは、愛想の良い若いミロカロスだった。
「大蛇」の異名がよく似合う、電柱のような太さの蛇体。
見惚れるような笑顔で深々とお辞儀をされ、意識するまでもなく俺も腰を折った。
「寒いでしょう、お部屋にご案内いたしやす。うちの後についてきておくんなはれ」
独特のイントネーション…..どこの地方だろうか。
と首を傾げている間に、大きな個室へと導かれていた。
立派としか言いようのない畳に、広々とした低い木造のテーブル。
見事な和室にギラティナも思わず息を呑んだ。
「こちらがお部屋になりますー。夕飯までお時間がありますし、お風呂も空いとりますよ?」
「あ、ありがとうございます…」
気がつけば、ロンギヌスは気張って座布団の上で正座をしていた。
「あ、あと質問いいですか?」
「どうぞ」
「ここの名前が捕食旅館って….やっぱ、そっち系のヤバい施設なんですよね?」
期待に胸を躍らせながら、ヒソヒソと彼女の耳元で囁く。
一瞬、プレデターハウスが脳裏にポッと浮かんだ。
やがてその問いを待っていましたと言わんばかりに、彼女の声が急に艶っぽくなった。
「えぇ….もちろんどす。
一度でも捕食者と目が合うてしもたら、一巻の終わりと思うてください」
「えっ….そのままパックン?」
「ふふ…そうどすが、安心しなはれ。
消化は禁止で、一時間以内に吐き出すのがここのルールですさかい、命に危険は及びません」
ロンギヌスは今すぐ食堂に駆け込みたい衝動に襲われた。
脳みその片隅でモグモグされる自分を妄想しながら、ミロカロスよりその他の注意を受ける。
「一応、今ならキャンセルも….…」
「発狂してもそんなことしません。」
「あ….ならよかとです」
「あ、女将さんちょっと待った!!」
部屋を出ようとする彼女を引き止めようと、ロンギヌスは思わず大声を出してしまった。
「ふふ…うちはまだ見習いどす」
「あっ….じゃあ仲居さん、けっこう変わった喋り方ですね。
俺、滅多に遠出しないから….方言って聞いたことないや」
「….うちは元々ジョウトのエンジュ出身ですさかい、まだこの地方の言葉に慣れてないんどす。どうか堪忍しておくんなはれ」
「あっ、別に悪いって訳じゃないんで….」
ただ別地方に興味が湧いただけだ。イッシュで生まれ、イッシュで育ち、そしてきっとイッシュで朽ちる運命のロンギヌスにとっては、まさに別世界。
お礼を言って頭を下げると、彼女も笑顔でニコリと返してくれた。
「ほな、おおきに」
ミロカロスは最後に一礼すると、鎌首で器用に引き戸を閉めた。
彼女がズルズルと廊下を這う音が聴こえなくなり、やがてカイオーガ達のどんちゃん騒ぎが鼓膜を震わせた。
『いいから全員、とにかく先に風呂だっ!!!!!』
着替えを用意して風呂場へと向かう途中、残念ながら捕食者の面々とは出会えなかった。
ミロカロスによると、ポケモン以外の種族も多数宿泊しているようだ。
巨竜などは玄関前の専用のゲートを通ることで、縮小化サービスを行っているらしい。
「お風呂場ってココだよね?」
当然のことながら、男湯の入り口には青い暖簾、同じく女湯には赤い暖簾が下りていた。
それを見たロンギヌスの表情がなぜか曇る。
「……..
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