[1]
TOP [2]
感想
[3]
RSS
捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33
− これが俺の日常 −
な、とロンギヌスは横目に見て思った。
だが正面からミロカロスに声を掛けられると、その途端に彼
らを気にする余裕は吹き飛ぶ。頭の中は、どうすれば最後ま
で彼女に好感を持ってもらえるか、という問題に占められた。
「ど、どうしたんですか急に……チェックアウトならラティ
オスがやった筈ですけど……」
「ふふっ……そういった業務的なことじゃなかとです。うち
の気持ちどす、どうぞ受け取ってください」
ミロカロスがピンク色の髪に載せて差し出してきたのは、い
かにもお土産コーナーに置いてありそうな饅頭の箱だった。
商品名は「チョコ&カスタード」となっている。
「昼間、一緒に遊んでいただいたお礼も兼ねてどす。つまら
ない物で申し訳ない……」
「え!? と、とんでもない!! 俺、チョコもカスタードも大好き
なんですよ!!」
「フフ……それは良かった」
満面の一歩手前の笑顔に見惚れながら、ロンギヌスは脱力し
た手で箱を受け取る。しかしその時、箱を下から支える4本
の指が違和感を覚えた。どうやら感覚からして、箱と指の間
に紙のような物が挟まっているようだ。ミロカロスがロンギ
ヌス以外の者には分からないように仕掛けたのか。
「あ、ありがとうございます……」
「良かったですねマスター。帰ったら皆で頂きましょうか」
「お、おお……」
隣にいるラティオスに勘付かれないよう充分に配慮した上
で、ロンギヌスはその紙に記された内容をひっそりと垣間
見る。それは今回彼らが使った物と同じ、宿泊無料のチケ
ットだった。それもサインペンで、新たに流れるような文
字が書き加えられている。
ーーーいつでもまたどうぞ。
「…………ハハ……」
「どうしたんですか急に笑顔になって。不気味ですよ」
胸が歓喜に震えるあまり、ロンギヌスはラティオスを無視
して顔を上げる。ミロカロスが微かに舌舐めずりを見せた
ような気がした。
捕食旅館 完
[4]
←
■作者メッセージ
最後までありがとうございました!!
<2012/06/21 21:51 ロンギヌス>
▼作者専用
[1]
TOP [2]
感想
[3]
RSS