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捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜
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− 最初の晩餐 −
「喜んで」
レムリアは床に突っ伏しているロンギヌスの横を素通りし、ラティオスの元へ歩み寄った。
彼の指示でガウンをハンガーに掛け、竜用の休憩用ベッドに誘われる。
その一部始終を、カイオーガはポカンと、ロンギヌスは唖然として見ていた。
「風呂上がりだし、今日は優しくお願いね…♪」
「ええ……それがお好みとあらば」
ラティオスは大胆にも、彼女のクリーム色の背中に馬乗りになった。
異様に輝かせた爪を、容赦なく彼女の首元へと持っていく。
その光景を前に何を思ったのか、ロンギヌスは急にパニックを引き起こした。
「ちょッ……やめろお前ら、こんな公共施設内でそんな‼ 俺の責任になっちまうだろ!!?」
「…何を考えてるんですか?」
「そうね……いっそマスターもやって貰ったら? 気持ちいいわよ、彼のマッサージ」
「え…マ、マッサージ?」
言われてみると確かにそうだった。
ラティオスの鋭い指先はレムリアの肩を的確に捉え、労わるような手つきで揉んでいる。
第三者の視点から見ても、なかなか心地良さそうな雰囲気だった。
「はぁ〜っ……風呂上がりには絶品ね。ありがとう、ラティオス君」
「あっ……こ、光栄です…」
異性の肩を揉むラティオスの頬に、わずかにピンクが刺した。
恐らくリーグの中で、未だにレムリアに君付けで呼ばれているのは彼だけだろう。
「……そうだレムリア。ギラティナとバビロン見なかったか?
男湯出てからどっちも姿を眩ましちゃってさ……」
「ふふ……知りません♪」
ものの見事に切り返された。何が「知りません」だ。
だが、二匹の行方が分からないのは事実だった。
また不可解な事件に巻き込まれていなければいいが……
と、その時、ロンギヌスの携帯がけたたましい着信音とともに震えた。
某アニメの主題歌だった。
「な、なんですかこの着メロ」
「趣味悪いねぇマスター♪」
「こんなの初めて聴いたわね…」
「う、うるせーな!! 俺の携帯だ!!」
ここまで非難されるのなら、やはり着信音ぐらいは「普通」にした方が賢明かもしれない。
彼らの心の狭さを心中で毒づき、ロンギヌスはポケットに手を突っ込んだ。
画面には、非通知設定の文字が浮かんでいた。
「……はい、もしもし!?」
ーーーなんだ。私の携帯番号、まだ登録していなかったのか? 貴重だというのに。
「あたり前田のクラッカー。お前がハードバンクに新規加入したの、つい昨日だろうが」
ーーークラッカーがどうしたって?
携帯越しでも分かる、相手を皮肉ったような陰険な声のトーン。
言わずもがな、バビロンからの着信だった。
夕飯はバイキング形式で好きなだけ頬張っていいので、早く食堂に来いとの事だった。
さっきまでレウスの豪華絢爛な「食道」にいたのになぁ…..などと馬鹿馬鹿しい洒落を巡らせる。
ーーーそうだ、あの金ピカ野郎が部屋に戻ってワケの分からない芸術とやらに没頭してる。ついでに連れてきてもらおうか。
「……何でお前はいつもいつも上から目線なんだよ」
ーーーフフ……この世の中、優れた方がが上座に着くものだ。
あと頼みというより忠告だが、くれぐれもあんたがギラティナを迎えに行くなよ。
「……は?」
ーーー早い話、マスター以外の全員であいつを迎えに行け、ということだ。
くれぐれもそれだけは死守してもらいたい。じゃあな。
通信はそこで途切れた。いや、大方、面倒臭がりのバビロンが一方的に切断したのだろうが。
ギラティナの回収に向かう旨をその場の全員に伝え
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