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捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜
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− エサと奴隷 −
昼まで随分と余裕があるため、ロンギヌスも旅館内を散策に出かけた。
ギラティナと戯れるカイオーガ、読書に勤しむレムリアとラティオスを尻目に部屋を出る。
もう他の観光客も起き出してきたようで、途中、三匹もの捕食者に顔を舐められた。
どうやらこの施設内においては、それが最低限の挨拶らしい。
もしこれが3時頃だったら、まず間違いなく彼らの胃袋行きだったろう。
とくに行く当ても無いため、ロビーから旅館の案内図を借りる。
細かな文字で記された部屋名や案内文の中に、不意に目を引くものがあった。
「…...遊戯室….暇つぶすか!」
まあ至極当然、マトモな遊戯室では終わらないだろう。
きっとここでしか味わえない、エキサイティングなゲームもある筈だ。
胸を躍らせながら、ロンギヌスはスキップ調で階段を駆け上がった。
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「し、失礼しまぁ〜s…」
扉を押し開けると、まず周囲からの視線が痛かった。同じ人間などほとんど居ない。
ロンギヌスは混み合う捕食者の面々の中をかいくぐり、やっと腰を下ろせるソファを見つけた。
右の席にはトレーナーキャップを被ったリザードンが、左にはルージュラが座っていたので、自然に身体が右寄りになってしまう。
しかし次の瞬間、ペラペラと雑誌をめくるリザードンの眼がこちらを向いた。
「…….へぇ…こんなところでかの有名なチャンピオンに出くわすとはね」
「えっ….あ…あの、どちら様で…」
「フフ…覚えてないか? こ・れ」
リザードンは自分の頭に載っている、赤と白のキャップを指差した。
こんな特徴的な帽子を被っているトレーナーなど、そう多くはない。
「おいおい…まさか忘れたのか? 俺だよ、俺」
その言葉に吸い寄せられるようにリザードンの顔に目を移す。
この凶暴さと温厚さが混ざり合ったような微笑み…...そうだ、確か….
「あっ…まさかレッドさんところの…」
「ああそうだ。一昨年はマスターが世話になったな」
「とっ…とと、とんでもない!!」
ロンギヌスはガタンと荒々しく席を立ち、軍の敬礼のような仕草をした。
それを見たリザードンは可笑しそうに、腕を組んでガハガハと笑った。
「…ハハッ…そんなに気張ることないだろ」
「と…と言われても…」
まさか数年前に惨敗させられた相手、レッドの手持ちのリザードンだとは想定外だった。
確かタイプ相性を無視した強さで、カイオーガと対等に渡り合っていた気がする。
逆に言えばこのリザードンに太刀打ちできたのが、カイオーガただ一人だったのだ。
そんな畏怖すべき相手を前にして、緊張の糸を切れるはずがない。
「あっ…..あわわ….」
「まあ…遊戯室なんだから肩の力抜きな。どうだ、ひとつ勝負しないか?」
「あの、しょ…勝負っていったい…」
「ルールは至って簡単だ。こいつを使う」
リザードンはソファの横の小物入れから、大小2つのサイコロを取り出した。
それが膝の上にポンと置かれた瞬間、ロンギヌスは座ったままで身を固くした。
「あの…これは….?」
「餌と奴隷、というゲームだ。この旅館のオーナーが独自に作ったらしい。
まず『捕食者』が大きいサイコロを振り、出た目を確認する」
リザードンは大きい方のサイコロを手にし、ピシッと弾き落とした。
出目は5だった。
「次に『被食者』が小さいサイコロを振り、『捕食者』との目の数を競う」
続いてリザードンは被食者用の小さなサイコロを投げた。
コロコロとソファの上を
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