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捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜
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− エサと奴隷 −
転がった末、あろうことか出た目は1だった。
「フフ….もちろん6の目が一番強い。
もし捕食者が勝てば、自分の目から被食者の目を引いた時間だけ相手を喰らっていい。
例えばこの場合、私が5でお前が1だから私の勝ち。
つまりお前は4時間ずっと、嫌でも俺の腹の中に入らなければならない。ここまではいいか?」
「は…はぁ…..」
「さてここからが重要なんだが….」
リザードンはサイコロをまとめて掴み取り、今度は同時に振った。
今度は先程とは違い、大きいサイコロは2、小さいサイコロは4を示していた。
「こういう、小さいサイコロの方が強い場合は被食者側の勝ちだ。
勝者の権利として、被食者は捕食者を出た目の差だけ、奴隷にして従わせることが可能だ。
つまりこの状況で私が負けたなら、私は2時間、お前の部下としてどんな命にも耐えなければならない訳だ」
「なるほど…...」
勝とうが負けようが、終着駅はリザードンの胃袋になる気がした。
どんなことでも叶えてくれるのなら、まず自分を喰うように指示してしまいそうだ。
とはいえもし大勝すれば、数時間とはいえこのリザードンで好きに遊べる…..
その魅力的な光景を思い浮かべるだけで、ロンギヌスは口元が緩むのを感じた。
「ちなみに目が同じなら引き分けで、仕切り直しだ。
サイコロを振るのにボードか台があればいいんだが…...まあ、これでいいか」
『GAME BOX』と書かれた箱からリザードンが引っ張り出してきたのは、チンチロリン用の陶器製の丼だった。
「さあ始めようか…..準備はいいな?」
「は、はいッ….!!」
「それじゃあ早速…..」
リザードンは捕食者用のサイコロを取り、額に近づけて目蓋を閉じた。
どうやら念を送っているらしい。ロンギヌスは生唾を飲み込んだ。
「………ッ…!!」
カッと目を見開き、賽を丼の中に放り込む。
カラカラカランと喧しい音を上げて転がるサイコロを凝視しながら、ロンギヌスは1、1、1と祈り続けていた。
カラン…..コロコロコロ…...カタン!
「フフ….まずまずといったところか…」
神様は公平に接してくれたようで、出目は3だった。
それを丼から取り出すと、次は待ちに待ったロンギヌスのターン。
「・・・・・う・・」
被食者用の小さいサイコロを、汗ばむ手で握り締める。
賽の目ひとつで、これから先の数時間の運命が決まる。
しかしどんなに最悪な負け方をしても、リザードンに食われるのは6−1で最大5時間。
クルージングまではまだ6時間あるため、少なくとも遅刻する危険性は無いだろう。
とりあえずミロカロスさんに迷惑は掛けずに済む、と胸を撫でおろし、ロンギヌスは丼に賽を投げ入れた。
カリャン、チロリロリロリロ….カラン!!
「あっ…..」
「ほお」
出目は3で、引き分ける。
ロンギヌスは安堵すればいいのか悔しむべきなのか判断できず、ただリザードンが二回目を振るのを無表情に眺めていた。
リザードンは今度は祈りなど捧げる様子は無く、子どもにお菓子を放るような感覚でひょいと賽を振った。
チンカラカラカラッ…..カランコロンカラン….
「おお、運が付いてきたようだな」
「う、嘘だっ…!!」
なんと5だった。
ロンギヌスは賽を振るまでもなく、早くも敗北の渦に飲まれていくような気がした。
至極当然、5に勝てるのは6しかない。
「ハハ….が、流石にちょっとこのままじゃ可哀想だからな。追加ルールをやろう」
「えっ…...」
「俺はこのサイコロを丼に残
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